エネルギー

博打の負けの穴埋めを求める再エネ議連が電力自由化を破壊する

再エネタスクフォースはめでたく解散したが、今度は秋本真利事務局長が収賄罪で逮捕されて休眠していた再エネ議連が活動を再開するという。

初仕事は相場で損した新電力の損失補填である。

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電力自由化はなぜ失敗したのか

再エネタスクフォースの解散は、電力自由化の歴史の一つの区切りである。ここまで20年近く続けられてきた支離滅裂な「改革」の失敗で電気代は上がり、供給は不安定化し、日本はこれから慢性的な電力不足に悩まされるだろう。なぜこんなことになったのか。その原点は2004年の怪文書にある。

もともと軽水炉は過渡的な技術で、最終的な解は高速増殖炉(FBR)だと思われていた。青森県六ヶ所村の再処理工場は、軽水炉から出る使用ずみ核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、FBRの燃料をつくるものだったが、肝心のFBRが稼働できず、その採算性に疑問があった。

2002年5月に、東電の荒木会長・南社長・勝俣副社長が、経産省に再処理工場の稼働中止を申し入れ、広瀬事務次官と大筋で合意したが、8月に柏崎刈羽原発のトラブル隠しが発覚し、後任の村田次官が荒木と南を辞任に追い込んで話が壊れてしまった。

そこでエネ庁の若手が2004年に「19兆円の請求書」という怪文書をマスコミに配布した。これは「核燃料サイクルは採算がとれないので撤退すべきだ」という提言だった。

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「19兆円の請求書」

これを書いたのは安井正也氏(のちの原子力規制庁長官)や山田正人氏(内閣府参事官)などで、その内容は村田次官も了承していた。だが電事連はこれに激怒し、甘利明氏などの族議員を使って執筆者をエネ庁から追放した。

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再エネタスクフォースの廃止はエネルギー問題正常化の始まり

中国国家電網のロゴ問題をきっかけに強い批判を浴びていた内閣府の再エネタスクフォースの廃止が決まった。当然である。根拠法もなく河野太郎氏の集めた「私兵」が他の役所に殴り込み、大林ミカ氏のような活動家がエネルギー基本計画にまで口を出したのは法治国家として異常な状況だった。

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気温を0.85℃下げるために5300兆円かける「脱炭素化」は必要か

エネルギー基本計画の主要な目的はエネルギーの安定供給のはずだが、3・11以降は脱炭素化が最優先の目的になったようだ。第7次エネ基の事務局資料にもそういうバイアスがあるので、脱炭素化の費用対効果を明確にしておこう。



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再エネを「主力電源」にすると電気料金は激増する

頭の悪い地方紙は、いまだに「原発新増設」がエネ基の争点だと思っているようだが、そんな時代はとっくに終わった。

昨年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」では「原子力の活用」が明記され、「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替え」の方針がすでに打ち出されている。

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「脱炭素化」の夢から覚めて電力供給を強化しよう

今年は第7次エネルギー基本計画(エネ基)の年である。朗報は河野太郎氏の突撃隊である再エネタスクフォースと自然エネルギー財団が、エネ基の議論から排除されることだ。それを意識して朝日新聞は、再エネ擁護のキャンペーンを張り始めた。

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NHKの放射能デマ「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」(アーカイブ記事)

2011年の記事が今ごろ話題になっているので再掲。ここで書いたICRPの過剰規制は、福島の過剰避難をまねいて被害を拡大した重大な問題である。この記事のあと専門家(ICRPの日本委員を含む)がBPOに提訴したが、却下された。


ネットで話題になっているNHKの番組のコピーがあったので、見て驚いた。その内容にではなく、こんなデマを(自称ジャーナリストではなく)NHKが放送したことにである。続きを読む

脱炭素化はビジネスチャンスではなくコストである



言論アリーナでロンボルグも有馬さんも強調したのは、地球温暖化対策には莫大なコストがかかるということだった。温暖化を止めるという理想に反対する人はいないが、そのコストがどれぐらいかかるのか知っている人は少ない。

おまけに脱炭素化のコストは、ウクライナ戦争で激増した。再エネをバックアップする天然ガスの価格が上がったからだ。ロンボルグの住んでいるデンマークは再エネ100%で電力を供給しているが、図のように電気代は世界一高く、日本の2倍である。

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費用対効果はどうだろうか。IEAの提唱した「ネットゼロ」のメリットは毎年4.2兆ドルだが、そのコストは毎年25.5兆ドル。コストはメリットの6倍である。温暖化対策のコストは、多くの政治家や国民が考えているよりはるかに大きく、そのメリットは先進国ではほとんどない。

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「ネットゼロ」の便益と費用

日経新聞は「カーボンゼロ」でもうかると思っているが、もし脱炭素化がビジネスチャンスだったら、各国が交渉してCO₂を削減する必要はない。ほっておけば、みんな競って脱炭素化するだろう。脱炭素化はコストであり、課税なのだ。

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朝日新聞の理解できない「容量市場」の経済的意味

電事連が、4月14日の朝日新聞の記事に抗議している。これは「地域新電力が容量市場に反対している」という当たり前の話で、これを1面トップに持ってきた朝日新聞は、デスクも含めて容量市場を理解していない。それはこの図を見ればわかる。

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朝日新聞より

ここには「容量市場の負担のしくみ」と書いてあり、そのメリットは何も書いてない。「不公平だ」と答えた新電力が77%というのは当たり前だ。この制度は「転売屋」の新電力に発電コストを負担させることが目的だからである。それにコメントしている高橋洋氏は自然エネルギー財団の特任研究員であり、いま話題の再エネTFのロビイストである。

再エネは昼間は太陽光で発電できるが、夜は売る電力がない。本来は新電力が24時間発電できるインフラをもつべきだが、民主党政権が発電設備をもたない転売屋の火力へのただ乗りを許したため、大手電力は固定費を回収できなくなった。

JEPXのようなスポット市場はフローのkWhだけを取引するので、限界費用の安い再エネが競り勝ち、採算のとれなくなった火力は廃止される。これを防ぐためストックのkWを取引して、広域機関が4年後の火力の設備を予約するのが容量市場である。

理論的には、スポット市場だけのenergy only market(EOM)でも、大手電力が再エネの発電できない夜間に高い価格をつけるスパイクで固定費を回収できるはずだ。それを理由に再エネTFは容量市場に反対したが、現実にはテキサスのようにEOMでは大停電が起こった。それはなぜだろうか。

続きは4月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

日本最大のメガソーラーは建築確認なしで買取価格40円の無法地帯

長崎県の宇久島で計画されている日本最大のメガソーラーが、5月にも着工する。出力は48万kWで、総工費は2000億円。パネル数は152万枚で280ヘクタール。東京ディズニーランドの5倍以上の巨大な建築物が、県の建築確認なしで建設される。民主党政権が太陽光発電を建築基準法の適用除外にしたからだ。


宇久島メガソーラーのイメージ(同社ホームページより)

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