エネルギー

「人類が経験したことのない暑さ」の原因は気候変動なのか

昨年の地球の平均気温は、観測史上最高だった。これについて「その原因は気候変動だ」という話がマスコミには多い。



これはホッケースティック曲線と呼ばれ、最近の気温上昇が異常に急速なことを示す。IPCCの第6次評価報告書にも登場した。これが本当だとすると、今は過去2万年間なかった急速な温暖化が進行中だということになるが、本当だろうか。

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地球温暖化で先進国の死亡率は減る

昨年の地球の平均気温は観測史上最高だったが、日本では何の被害もなかった。寒さで死ぬ人は暑さで死ぬ人の9倍なので、温暖化で全世界の死者は減った。これを示したのがZhaoらのLancet論文で、世界の死者は温暖化で0.3%減った。



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太陽光のコストは蓄電を含めると原子力の15倍

原子力に世界の投資家の注目が集まっている。COP28では、日本を含む22ヶ国が原子力を3倍にするという宣言文書に署名し、ウランの価格は1年で55%上がり、福島第一原発事故以来、最高になった。この背景には、ウクライナ戦争以来の化石燃料価格の上昇がある。

もう一つは再エネを補完するコストが大きくなったことだ。再エネがマイナーなエネルギーだったときは稼働率は問題にならなかったが、もし再エネ100%になると、夜間などにはその電力を蓄電して発電しなければならない。蓄電池のコストは約10万円/kWhで、火力の1万倍。連系線の強化にも莫大なコストがかかるが、これは再エネ業者の負担すべきものだ。

このように蓄電によって一定の電力を供給するコストを内部化したのが、Levelized Full System Costs of Electricity(LFSCOE)である。これを使ったBank of Americaの計算によると、図のように原子力のLFSCOEは106ドル/MWhだが、太陽光は1548ドルと15倍である。

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BoA Research Investment Committee

続きは1月29日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

バイオマスって再エネなんですか?

最近、バイオマス発電所の事故が相次いでいます。バイオマスといっても化石燃料の代わりに木質ペレットを燃やしているだけですが、バイオマスは再生可能エネルギーということになっていて、FIT(固定価格買取)で32~40円/kWhで買い取ってもらえるので、各地に発電所が増えています。

ところがEU(欧州連合)は2023年12月に可決した再生可能エネルギー指令(RED Ⅲ)で、木質ペレットを再エネ補助金から除外することを決めました。どうしてでしょうか。チャットGPTにきいてみました。


木質ペレット

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地球の平均気温は1.5℃目標に到達したが、人類は絶滅しない



これは気温上昇を1.5℃以内に抑えるというパリ協定の努力目標まであと0.02℃だが誤差の範囲であり、多くの地域で1.5℃を上回っている。この最大の原因はエルニーニョだが、今年前半も温暖化が続く見通しだ。


ABC news

つまり人類は環境活動家が「1.5℃上昇を超えると人類が破滅する」と叫んでいた気温に事実上到達したのだが、破滅は起こっていない。

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グローバルサウスが主役になったCOPはゆるやかに死んでゆく

ドバイで行われていたCOP28が先週終わったが、今回のCOPはほとんど話題にならなかった。合意文書にも特筆すべきものがなく、何も決まらなかったからだ。



今年は「化石燃料の段階的廃止(phase out)」という文言を合意文書に入れるかどうかが焦点だったが、中国やインドや途上国が反対し、段階的削減(phase down)という言葉になり、さらに化石燃料からの脱却(transition away)という玉虫色の表現に落ち着いた。これには具体的な意味がない。

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「2050年ネットゼロ」の費用はその便益よりはるかに大きい

ドバイではCOP28が開かれているが、そこでは脱炭素化の費用対効果は討議されていない。これは恐るべきことだ。



あなたの会社が100億円の投資をするとき、そのリターンが100億円より大きいことは最小限度の条件だが、世界各国は毎年数兆ドルの脱炭素化投資のリターンが、投資額より大きいかどうかも知らないのだ。

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イスラエルのガザ侵攻で「第3次石油ショック」は起こるか

パレスチナのガザ地区をめぐって、ハマスの攻撃に対する報復として、イスラエルはガザの空爆と全面的な地上侵攻を行うと予告している。周辺諸国はこれに反対し、イランはハマスに軍事援助し、レバノンのヒズボラは南下し、サウジアラビアはイスラエルとの関係正常化を凍結した。


第4次中東戦争(Wikipedia)

同じような事件が、ちょうど50年前に起こった。1973年10月6日、第4次中東戦争が始まったのを受けてOPEC(石油輸出機構)がイスラエル支持国への原油の輸出を禁止すると発表し、ペルシャ湾岸諸国は原油価格を3ドル/バレルから11.65ドルに引き上げた。これが第1次石油ショックである。

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福島第二原発を再稼動せよ

世界的に化石燃料の値上がりで、原子力の見直しが始まっている。米ミシガン州では、いったん廃炉が決まった原子炉を再稼動させることが決まった。

アメリカではシェールガスの価格が下がったため、原子力の競争力がなくなったが、ウクライナ戦争以降の化石燃料の値上がりで、ミシガン州は原発を動かす方針に転換した。今回はこれを受けて、いったん廃止されたパリセード原発(出力85.7万kW)を再稼働し、その電力を地元の発電組合に売ることが決まったものだ。

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「ガソリン・ポピュリズム」でよみがえるバラマキ財政の誘惑

国民民主党の玉木代表が、毎日しつこくガソリン補助金の延長を主張している。


自民党も9月末で終わる予定だった石油元売りへの補助金を今年いっぱい延長する方向で検討している。これはコロナ収束で使い残した予備費を使うもので、2022年4月に補助上限をリッター当たり35円に増額。170円を超える場合は、超過分の2分の1を支援した。

これによって補助金は総額6.2兆円が使われたが、これはマクロ経済的にはまったくナンセンスである。もとはといえば今回のインフレの原因は、コロナでばらまいた100兆円以上の補助金だから、それを止めるには緊縮財政が必要なのだ。

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