冗談

【独自】憲法を改正して同性婚を認める方向

政府は同性婚をめぐる問題を解決するため、憲法を改正して同性婚を認めることをきょう閣議決定する。

憲法第24条では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定めているが、この「両性の合意」とは「男女の合意」であって同性婚は憲法違反だというのが通説である。

しかし一部にはこれを「同性婚の否定を含まない」と曲解する憲法学者もいるため、政府は混乱を避けるために憲法を改正し、第24条を「婚姻は、異性または同性の配偶者の合意のみに基いて成立し…」とする。

「戦力を保持しない」と定めた憲法第9条を根拠にして「集団的自衛権は憲法違反だ」と主張する条文原理主義の憲法学者が、第24条については条文を無視して「両性」には「男と男あるいは女と女も含まれる」と類推するなど、日本語が混乱しているので、菅首相は憲法改正を決めた。

この憲法改正案は今の通常国会に提出され、両院の2/3以上の多数で可決されれば国民投票にかける運びだが、同時に民法を改正して「同性婚の場合は結婚しても別姓とする」と夫婦別姓を義務化する。これは同性婚の夫婦を別姓として異性婚と区別し、夫婦別姓派の要望も満たすためだと政府高官は語った。

しかし右派は「同性婚と夫婦別姓を認めるのは我が国の伝統に反する」と批判する一方、左派からは「夫婦別姓を義務づけるのはリベラルじゃない」という反発が出ている。このため夫婦同姓の夫婦同性を認めるべきか、夫婦同姓と夫婦同性は区別すべきか論争が起こっており、政府高官は「どうせいというんや」と関西弁でコメントした。

続きはアゴラサロンで(初月無料)

リフレ派の自殺

おとといの記事でMMTを評価したら、「池田信夫が正しいことをいってる!」とリフレ派が喜んでいるようだが、MMTはネトウヨの素朴ケインズ主義に近い。リフレ派の「日銀がインフレ目標2%と量的緩和でインフレを起こせる」という主張は、その日銀によって完璧に反証された。

そこでリフレ派は最近は「金融政策で失業率が決まる」といい出した。金融政策でインフレが起こって失業率が下がるはずだったが、インフレが起こらないのに失業率が下がったので、苦しまぎれに「目標はインフレじゃなくて失業率だ」と話をすりかえたわけだ。最近は「金融政策で自殺率が決まる」と言い出した。

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この図を見るとおもしろいのは、自殺率が下がり始めたのが2008年、つまり日銀の白川総裁が就任した年だということだ。失業率が下がり始めたのも民主党政権の時代で、2013年以降の安倍政権でもペースは変わらない。「アベノミクスは2014年の消費増税で挫折した」というのがリフレ派の言い訳だが、その時期にも失業率は単調に下がっている。

日本で失業率と自殺率の相関が高いことはよく知られているので、もし金融政策で失業率が決まるとすると、ここから論理的に導かれる結論は、失業率を下げたのは白川総裁の金融政策であるということになる。こういう論理を自殺論法(self-defeating logic)という。

続きは1月28日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

千葉雅也氏の「知の欺瞞」

キャプチャ
このツイートがゆうべから反響を呼んで、いろんなフォローがついたが、傑作は「千葉雅也のアンチ・エビデンス論について」という解説だ。それによれば、彼の文章はこんな調子らしい。
分身から分身へと移ろう不安のマゾヒズムを再起動させること。すなわち、あらゆることがあらゆるところに確実に届きかねない過剰な共有性の、接続過剰のただなかで、エビデンスと秘密の間を揺らぐ身体=資料体を、その無数の揺らぎの可能性を、ひとつひとつ別々の閉域としてすばやく噴射する。柑橘系の匂いで。
難解な文章には2種類ある。たとえばハイデガーの文章は、本質的にむずかしい問題を論じているのでどう書いても難解だが、この文章は書いた本人も何を書いているのかわかっていない。彼はドゥルーズを論じた著書も出しており、こんな悪文で数百ページ埋めるのは特異な才能だが、この手の文章は私の学生時代には流行した。
人生はゼロが無理数=不合理であるような微積分学として定義できるでしょう。この式はほんのイメージ、数学的隠喩です。私が「無理数=不合理」と言うとき、何も私はある種のはかり知れない情動の状態を指しているのではなく、正確に虚数といわれているものを指しているのです。
これは『知の欺瞞』に引用されたラカンの文章だが、意味不明なだけでなく、無理数と虚数を混同している。こういう無知を衒学的にごまかすフランス的悪文は80年代で終わり、最近の思弁的実在論などは――英米が中心になったこともあって――普通の散文で書かれている。思想と称して思いつきを文学的に飾るレトリックは、もうファッションでさえないのだ。続きを読む

ジャン・ティロール、アベノミクスを語る

tirole4月7日の国際金融経済分析会合にJean Tiroleが招かれるというので、友人にSkypeのIDを教えてもらって国際電話してみた。
  • 私 初めまして、ティロール先生。経済産業研究所で、あなたの弟子Hagiuの同僚だった池田と申します。
  • ティロール(J.T.) やぁ! 彼は今たしかHBSだよね。
  • 私 はい。研究所では、先生のThe Theory of Corporate Financeを読んで、とても感銘を受けました。あれが企業理論の決定版だと思います。
  • J.T. ありがとう。でもあれはOliver Hartの所有権理論をエージェンシー理論と組み合わせただけだから、本当は先に彼がスウェーデン銀行賞をもらうべきだった。
  • 私 私もWilliamsonと一緒に受賞すべきだったと思いますが、それさておき、7日に日本に来られるそうですね。アベノミクスについてはどうお考えですか?
  • J.T. 私は日本語が読めないので、英語の文献で判断するしかないんだけど、率直にいってかなり混乱してるね。中央銀行がQEでCPIを操作できるなんて、理論的にも実証的にも葬られた話だ。ヨーロッパで失敗したマイナス金利を今ごろ始めるなんて信じられない。だれが経済政策を決めてるの?
  • 私 それがよくわからないんです。一応、首相の顧問としては浜田宏一さんという私の先生がいるんですが。
  • J.T. イェールにいたハマダかい? 私は彼の日本語のセミナーはわからなかった。
  • 私 いえ、あのセミナーは英語だったんですが…
  • J.T. あ、そうだったの… しかし彼はオールド・ケインジアンだから、forward guidanceなんて信じてないんじゃないの?
  • 私 そうなんですよ。Krugmanも去年、IMFの研究会で「forward guidanceは誤りだった。中央銀行総裁の発言が影響をもつのは、参加者の多くがプロである金融市場に限られる」と認めました。浜田先生も最近は「リフレの根拠はマンデル・フレミングなので、景気がよくなったらインフレ目標なんていらない」といいはじめて、リフレ派に「浜田は3年前に言ったことを忘れるアルツハイマーだ」などと罵倒されてます。
  • J.T. 日本経済は、マクロ指標からみるかぎり、「景気がいい」といえる状況じゃないだろ? どっちにしても私の教科書にも書いたように、企業でも政府でも、誰がresidual claimantかを一意的に決めることが重要だ。今の日本政府は最悪のjoint ownershipになって、全員が拒否権をもっているので誰も決められないんだよ。
追記:誤解する人がいるので、念のため日付を見てください。

自由報道協会の解散について

きのう自由報道協会の理事会から、標記のような電子メールが届いたので、原文のまま掲載する。続きを読む

デフレ脱却なんて簡単だ

昔の記事でも書いたことだが、バカにも程度があって、リフレ派はましなほうだ。それより愚劣なのは自民党の「国土強靱化」に代表されるバラマキ派で、その教祖が三橋貴明氏である。彼の話は徹頭徹尾でたらめなので論評する気にもならないが、安倍総裁がFacebookで「いいね!」をつけているというので放置できない。
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日銀が国債引き受けへ

政府は復興国債を日銀に引き受けさせることを閣議決定した。東日本大震災の復興のため、政府は復興基本法案を31日の緊急閣議で決定した。首相を本部長に全閣僚で構成する復旧復興戦略本部を設置し、震災復興担当相の下に復興庁を新設する。復興財源を確保するため復興国債を300兆円発行し、これを円滑に消化するため、財政法第5条に定める国会決議によって日銀に全額引き受けさせる。

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「狂乱物価」はすべてを解決する?

麻生元首相が「今こそ公共事業を」とぶち上げたそうだ。神戸新聞によれば、「マスコミが世論を誘導し、公共工事は悪というイメージを作り上げた。今こそ公共事業をどんどんやるべきだ。金を借りているのは国民ではなく国。満期になったら、政府の権限で金を刷って返せばいい。企業と国の借金は性質が違う」という。

これが「国債の価格と金利は絶対に反比例する」という上念某や「インフレになったら労働者の給料は上がって若者が就職できる」という三橋某の話なら笑い話ですむが、元首相が公然と財政インフレを主張するのは困ったものだ。

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亀井郵政担当相、「国債の郵貯引き受け」へ

ゆうちょ銀行の預金受け入れ限度額が2000万円に引き上げられたことに関連して、その意図がさまざまな憶測を呼んでいるが、亀井静香郵政担当相は昨夜、国会決議によって国債を日本郵政に引き受けさせる規定を郵政改革法に盛り込むことを記者団に明かした。これは事実上の「国債の郵貯引き受け」といえ、さまざまな波紋を呼びそうだ。

現在、郵貯と簡保は合計300兆円の8割を国債で運用しており、国債のほぼ4割を保有する。これは日銀(50兆円程度)はもちろん、民間金融機関の合計も上回り、この資産運用を多様化してリスクを分散することが民営化の一つのねらいだった。しかし元大蔵次官の斉藤次郎氏を社長に迎え、郵貯は逆に「国債引き受け機関」の性格を強めている。

この背景には、政府債務が900兆円を超える見通しとなり、国内での消化が困難になってきたという事情があると考えられる。このままでは5年以内にも、外債の募集が必要となる事態が予想されるが、その場合には現在のような低金利で発行できるとは思われず、需給の不安定性も増す。そこで、このような事態を避けて国内だけで国債を消化するには、郵貯がさらに国債を引き受けるしかない。

かりに今回の限度額引き上げによって郵貯・簡保の資金量が50兆円増えれば、それだけで1年分の国債が消化でき、それで足りなければ3000万円、4000万円・・・と増やしていけばよいわけだ。亀井氏は「財政危機というのは財務官僚の作り出したフィクション。国家の徴税権という担保がある限り、債務不履行の心配はない。国債償還の原資が足りなくなったら増税すればいい」と説明した。

現在の長期金利からみると、国債の「札割れ」が起こるような状況はそうすぐに来るとは考えられないが、増税するためには税制調査会や国会審議などで数年かかかる。「国債の入札に緊急事態が生じた場合に、日本郵政の社長に命令して国債を引き受けさせる制度は危機管理として必要だ」と亀井氏は強調した。

「それは日本郵政を『第二日銀』にして国営化することになるのでは?」という記者団の質問に対して、亀井氏は「国営化して何が悪い。政府が日本の隅々まで責任をもって郵便も貯金もユニバーサルサービスする制度は、世界に冠たるものだ。郵政民営化なんて単なる小泉[純一郎元首相]の思い込みで、おれはもともと反対だった。民間が金を使わないんだから、国が使うしかないじゃないか。ガハハ」と豪快に笑って官邸をあとにした。


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