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ジャニーズ事務所と民放のカルテルがコンテンツ産業を腐らせた



櫻井翔氏のコメントがいろいろ話題を呼んでいる。彼が被害者だとしても、日テレがジャニー喜多川の性犯罪を見逃して(彼を初めとする)ジャニーズ事務所のタレントを使ってきた加害者としての責任はまぬがれない。もっと大きな問題は、このような芸能人カルテルが、日本のコンテンツ業界を腐らせたことだ。

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ジャニーズ事務所が支配する芸能界の「タコ部屋」は日本社会の縮図

ジャニー喜多川の性犯罪について元ジャニーズジュニアのメンバーが12日に外国特派員協会で話した記者会見は、新しい話ではない。喜多川が事務所に所属する少年タレントにセックスを強要していたことは、20年前に最高裁が認定した犯罪である。

驚いたのは、これをテレビがまったく報じなかったことだ。今のところNHKが翌日16時の流れニュースで、テレ東と日テレが14日深夜のニュースで短く報じただけだ。いつも芸能ニュースを延々とやっているワイドショーは、この話を黙殺している。



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電波利権を生んだのは占領時代の「正力構想」の挫折だった

日本の電波行政が、いまだに放送に政治的公平を求める一方、電波オークションも行われないなど石器時代のような状況なのは理由がある。それは戦後の占領体制のもとで、米軍支配の一環としてつくられたからだ。

1952年に日本最初のテレビ放送免許を取得したのはNHKではなく、日本テレビである。その社長だった正力松太郎はCIAの工作員であり、ポダムという暗号名をもっていた。彼はGHQを後ろ盾にして通信・放送を支配下に収め、日本をアジアの反共の橋頭堡とする正力構想を実行しようとした。

世界で初めて1928年にテレビを発明したのは日本の高柳健次郎であり、この方式では1チャンネルは7MHzだった。それに対してアメリカのNTSCでは6MHzで、GHQはこれを日本に導入しようとし、郵政省もその方針に従った。NHKは7MHz案を主張したが、占領体制ではNHKに勝ち目はなく、NTSC方式が採用されて国産技術は葬られた。

正力構想は米軍の通信網を使って通信・放送を一つのネットワークに統合する計画だったが、これには電電公社が強く反対し、吉田茂がそれをバックアップしたため、正力構想は挫折した。おかげでテレビには全国ネットワークができす、各県ばらばらの県域免許の放送局を電電公社のマイクロ回線で結ぶ変則的な構造になった。

その結果、地方民放は県域では採算が取れず、在京キー局からもらう電波料という補助金で経営するゆがんだ構造になった。その利権構造を支配したのは、自民党の田中派だった。このように自民党と深く結びつき、今も強い政治力をもつ民放連が電波行政の癌である。

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放送規制の「独立行政委員会」は周回遅れ

放送法をめぐる文書で明らかになったのは、総務省がいかに民放に気を使っているかだ。これについて「独立行政委員会で規制すべきだ」とか「日本版FCCが必要だ」という意見がよくあるが、もう周回遅れである。

OECD諸国の中で、通信・放送規制の独立行政委員会がないのは日本だけである。1952年までは電波監理委員会があったが、占領統治の終了とともに郵政省が吸収した。これを復活しようという話は昔からあり、1996年の行政改革会議の中間報告では、郵政省の規制部門を通信放送委員会に分割し、現業部門を郵政公社、産業振興部門を「産業省」に分割する案が発表された。


行革会議の中間答申

これに対して郵政省は逓信族議員を使って巻き返し、その結果、郵政省が丸ごと自治省・総務庁と合併する「総務省」という意味不明の官庁ができた。自治省と郵政省は業務にまったく共通点がないため、庁舎のフロアも別々で人事交流もほとんどない。それが今回のような旧自治省と旧郵政省の縦割り官庁の中の縦割りを生んでいる。

独立行政委員会ができたのは、放送コンテンツを政府が規制することが検閲にあたるためだったが、今では放送コンテンツを規制する法律が、OECD諸国にはほとんどない。BS・CS含めて100チャンネル以上のチャンネルができた現在、すべてのチャンネルに政治的公平を求める意味はないからだ。新聞や雑誌を規制しないのと同じである。

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マスコミはなぜ「放送法4条を廃止しろ」といわないのか

放送法の解釈についての総務省の調査結果が出た。これが当面の最終報告のようだが、焦点の大臣レクについて前半と後半ではニュアンスが微妙に変わっている。

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憲法違反の放送法4条は廃止せよ

小西議員の漏洩文書をめぐって、朝日新聞が「放送法の解釈 不当な変更、見直しを」という意味不明な社説を書いている。この漏洩文書はまだ総務省が「正確性について精査中」なのだが、朝日はこれが全面的に正しいという前提で高市大臣を批判している。

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西山記者を誘惑したのは蓮見秘書だったのではないか

外務省の機密漏洩事件(いわゆる西山事件)は半世紀前の事件だが、西山が死去した今ごろ、ツイッターのトレンドのトップに上がっている。これが「レイプ」などというデマになっているのには驚いた。この発端は門田隆将氏の次のツイートだと思われるが、事実誤認である。

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外務省は沖縄密約をごまかすために検察を使った

元毎日新聞記者の西山太吉が死去したが、この事件は50年以上前なので、いろいろデマが飛びかっている。過去の記事も含めて、事実関係を整理しておく。

1972年に西山が報道したのは、400万ドルの土地復元費用を日本政府が負担する密約だったが、その後、明らかになったアメリカ側の条約文書をもとに、VOA移転費用など合計2000万ドルを日本側が肩代わりする密約があったことを明らかにしている。さらに沖縄返還協定に書かれた3億2000万ドル以外に、基地の移転費用6500万ドルや労務費3000万ドルなど、別の「秘密枠」もあったとされている。

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テレビは日本人を「愚民化」する装置

年末年始のテレビ番組を見なくなって久しいが、昔あれをつくっていたころは、テレビがいかにむなしい仕事か痛感したものだ。「ゆく年くる年」は3分の中継のために1ヶ月ぐらい準備し、30人ぐらいのスタッフが徹夜する。毎年「今年でやめよう」といいながら、いまだに続いている。

こんなオールドメディアは滅び、ネットメディアの時代になるという話は20年ぐらい前からあるが、テレビはしぶとく生き残っている。図のようにテレビの視聴時間は毎日2時間23分で、16年間で30分ぐらいしか減っていないが、新聞を読む時間は32分から13分になった。学生は、紙の新聞はまったく読まない。

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テレビに代わってメインのメディアになったのはスマホだが、それも今の主役は文字ではなく、YouTubeやInstagramのような映像である。これは脳の負荷が小さく、思考を必要としない。20世紀にテレビが新聞に置き換わったのと同じ愚民化が起こっているのだ。

テレビは戦後、GHQが日本に導入したものだ。当時からテレビが人間を「白痴化」するという批判があったが、それがGHQの目的だった。1953年、NHKより先に放送開始した日本テレビの社長、正力松太郎は、暗号名「ポダム」というCIAのエージェントだった。テレビは日本人にアメリカ的生活様式を刷り込み、愚民化する装置だったのだ。

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シマゲジの夢見たグローバルなNHK



NHKの会長が来年1月に交代するが、今までのように首相のお友達がなっても、何もできない。テレビの中身を知らない財界人が、採算ベースで経営できないからだ。NHKがコンテンツ産業で生きていく上で最大のボトルネックは、特殊法人として強い規制を受け、自由なビジネス展開ができないことにある。

金が余っているから受信料を値下げしろという話もあるが、それより余った金でグローバル展開したほうがおもしろい。昔そういう会長がいた。島桂次、通称シマゲジと呼ばれ、もとは宏池会を担当する派閥記者だったが、NC9やNHK特集をつくり、BSを独自放送にした。

彼はルパート・マードックの向こうを張ってNHKを民営化してグローバル企業にしようとし、住友銀行の磯田一郎と一緒にMICOという新会社をつくった。多くの企業が新会社に出資し、島は1991年に「NHKを拠点にして日本から世界にニュースを発信する」というGNN(Global News Network)構想を発表したが、その直後に失脚した。それはNHKのバブル崩壊だった。続きを読む
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