経済
長期金利が急上昇し、株式の配当利回りと逆転した。これ自体は当たり前で、株式の主たる利益はキャピタルゲインなので、配当(インカムゲイン)だけを比べると債券のほうが高くなる。

ただ異様なのは、ここ3年の長期金利の急速な上昇である。その一つの原因は、日銀総裁の交代である。黒田総裁は2022年末にYCCで激しく国債を買い支えたが、植田総裁はそういう金利操作をやめたからだ。
また長期金利は財政状況を反映する。通貨としては通常、日銀券だけが想定されるが、その残高は約120兆円。それに対して国債は約1100兆円と、ほぼ10倍である。両者の違いは金利がつくかつかないかだけだから、政府債務としては国債のほうがはるかに重要である。続きを読む

ただ異様なのは、ここ3年の長期金利の急速な上昇である。その一つの原因は、日銀総裁の交代である。黒田総裁は2022年末にYCCで激しく国債を買い支えたが、植田総裁はそういう金利操作をやめたからだ。
また長期金利は財政状況を反映する。通貨としては通常、日銀券だけが想定されるが、その残高は約120兆円。それに対して国債は約1100兆円と、ほぼ10倍である。両者の違いは金利がつくかつかないかだけだから、政府債務としては国債のほうがはるかに重要である。続きを読む
高市首相が財界の新年祝賀会で「税率上げずに税収増えていく日本の姿をつくる」とあいさつしたことが話題になっている。税率を上げないで税収を上げる一番簡単な方法は、インフレを起すことである。
物価が上がると、税率が同じでも名目成長率gの分だけ税収が増える。他方、政府債務も金利rの分だけ増えるので、政府債務比率が発散しないための条件(ドーマー条件)は
r<g
だから、インフレでgを上げれば税収は上がり、財政は維持可能になる。しかしrを10年物国債の金利と考えると、図のように今年になって2%を超えている。名目成長率は約3%なので、このペースだと今年中にr>gとなる可能性がある。

しかも20年物や30年物との差が大きい。それは日銀が10年物を買い入れて金融抑圧しているものと思われ、これがずっと金利上昇の続く原因になっている。
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物価が上がると、税率が同じでも名目成長率gの分だけ税収が増える。他方、政府債務も金利rの分だけ増えるので、政府債務比率が発散しないための条件(ドーマー条件)は
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だから、インフレでgを上げれば税収は上がり、財政は維持可能になる。しかしrを10年物国債の金利と考えると、図のように今年になって2%を超えている。名目成長率は約3%なので、このペースだと今年中にr>gとなる可能性がある。

しかも20年物や30年物との差が大きい。それは日銀が10年物を買い入れて金融抑圧しているものと思われ、これがずっと金利上昇の続く原因になっている。
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「財政出動したらマンデル=フレミング・モデルで円高になる」と予言して失笑を買った(高市政権の御用エコノミスト)会田卓司氏が、正月からインフレ税を宣言している。
インフレが安定化する保証はない。このような「高圧経済」はバイデン政権がやって10%近い大インフレを招き、アメリカ経済が大混乱に陥ってトランプ政権の再登場を招いたものだ。
日本はいま需給ギャップがプラマイゼロで3%のインフレだが、これを2%の需要超過にすると、会田氏も認めるようにインフレ圧力がかかり、4%ぐらいになるだろう。
これによって税収が増えて名目GDPは増える一方、政府支出はそれほど増えないので、政府債務GDP比率は下がり、プライマリーバランスも黒字になる。インフレ税で財政は健全化するのだ。

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積極財政の「責任」とは何か 会田・白井・浜田氏が語る 会田卓司氏/白井さゆり氏/浜田宏一氏https://t.co/tfvRCImz2m
— 日本経済新聞 経済・社会保障 (@nikkei_keizai) January 3, 2026
政府投資は短期的に需要を増大させるため、経済は景気過熱気味の高圧になる。日本経済の需要と供給の差を示す需給ギャップは2%程度まで需要超過にするのがいいだろう。一時的にインフレ圧力はかかるかもしれないが、いずれ供給力に転換してインフレは安定化する。
インフレが安定化する保証はない。このような「高圧経済」はバイデン政権がやって10%近い大インフレを招き、アメリカ経済が大混乱に陥ってトランプ政権の再登場を招いたものだ。
日本はいま需給ギャップがプラマイゼロで3%のインフレだが、これを2%の需要超過にすると、会田氏も認めるようにインフレ圧力がかかり、4%ぐらいになるだろう。
これによって税収が増えて名目GDPは増える一方、政府支出はそれほど増えないので、政府債務GDP比率は下がり、プライマリーバランスも黒字になる。インフレ税で財政は健全化するのだ。

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明けましておめでとうございます。
今年は1月9日から「日本病のカルテ:長期低迷をいかに脱却するか」というテーマでアゴラセミナーをやりますが、その一つのテーマが貯蓄過剰です。これはみなさんの資産を守る上でも大事な問題です。

日本経済が30年以上にわたって低迷している大きな理由は、預貯金が多すぎることです。特に資金を借りて投資するはずの企業が、1998年の金融危機から貯蓄過剰になりました。これは最初は銀行が融資を回収したためですが、その後も企業が自衛のために自己資金を増やし、図のように貯蓄過剰が続いています。
日本のISバランス(OECD)
家計の金融資産の中でも半分は現預金。今年は49.1%と少し下がりましたが、先進国では群を抜いて保守的なポートフォリオです。今はインフレなので、普通預金の実質金利はマイナス3%。つまり預金者は毎年3%も銀行に寄付しているのです。
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今年は1月9日から「日本病のカルテ:長期低迷をいかに脱却するか」というテーマでアゴラセミナーをやりますが、その一つのテーマが貯蓄過剰です。これはみなさんの資産を守る上でも大事な問題です。

日本経済が30年以上にわたって低迷している大きな理由は、預貯金が多すぎることです。特に資金を借りて投資するはずの企業が、1998年の金融危機から貯蓄過剰になりました。これは最初は銀行が融資を回収したためですが、その後も企業が自衛のために自己資金を増やし、図のように貯蓄過剰が続いています。

家計の金融資産の中でも半分は現預金。今年は49.1%と少し下がりましたが、先進国では群を抜いて保守的なポートフォリオです。今はインフレなので、普通預金の実質金利はマイナス3%。つまり預金者は毎年3%も銀行に寄付しているのです。
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インフレ税がいろいろ話題になっているので、理論的な背景を整理しておこう。これは新しい理論ではなく、1990年代からFTPL(物価水準の財政理論)として知られている。これはMMTのようなトンデモ理論ではなく、その発案者クリストファー・シムズはノーベル経済学賞の受賞者である。

物価水準=名目政府債務/プライマリー黒字の現在価値 (1)
ここで名目政府債務は1300兆円だから、物価が1前後で安定しているということは、投資家が日本政府は将来1300兆円のプライマリー黒字を出すと予想していることを示す。
これは明らかに不可能だから、政府(財務省)は過剰に信頼されている。いずれ投資家は間違いに気づくだろうと思って、多くの専門家が金利上昇とインフレを予想したが、ことごとく外れた。なぜだろうか?続きを読む

「人為的な財政インフレ」は可能か
彼は2017年に来日して、安倍首相に「消費税の増税を延期すればインフレになる」と提言した。話が奇想天外なので、さすがの安倍氏も乗らなかったが、シムズはハイパーリカーディアンというおもしろい言葉で、日本の現状を表現している。この種の議論をする際によく持ち出されるリカーディアン均衡(リカードの等価定理)的な考え方では、追加的な政府支出の効果は将来の増税予測によって相殺されるというが、現在は[日本では]相殺どころか、それ以上の増税を予測する「ハイパーリカーディアン」とでも呼ぶべき「期待」がむしろ広がってしまっている。FTPLはインフレを貨幣的現象ではなく財政的現象と考える理論である。ここでは物価水準を無限の将来にわたる税収(プライマリー黒字)の割引現在価値で決まるものと考え、その均衡条件は、
物価水準=名目政府債務/プライマリー黒字の現在価値 (1)
ここで名目政府債務は1300兆円だから、物価が1前後で安定しているということは、投資家が日本政府は将来1300兆円のプライマリー黒字を出すと予想していることを示す。
これは明らかに不可能だから、政府(財務省)は過剰に信頼されている。いずれ投資家は間違いに気づくだろうと思って、多くの専門家が金利上昇とインフレを予想したが、ことごとく外れた。なぜだろうか?続きを読む
このごろちょっとインフレ税が話題になっているので、チャットGPTに聞いてみた。
物価高で定着する「インフレ税」…その正体は? 気付かないうちに国民負担は重くなり、政府の借金は軽くなりhttps://t.co/xm7f2gGeYz
— 東京新聞デジタル (@tokyo_shimbun) December 24, 2025
Q. インフレ税って何ですか?
- 物価上昇(インフレ)でお金の実質価値が目減りし、全国民から負担を徴収するのと同じ効果が生じる、という経済学的な考え方です。
- 法律で課される税ではないが、お金を貸している人が損して借りている人が得をします。最大のお金を借りているのは政府なので、税金をかけるのと同じ効果があります。
- 誰がどれだけ負担しているか分かりにくいので、隠れた税金とも言われます。
来年度の一般会計予算が閣議決定された。総額は約122兆3000億円となる見通しだ。マスコミはこれを「史上最大」とか「放漫財政」とか騒いでいるが、名目GDP比では今年度並みである。高市首相と片山財務相が約束したように補正予算を組まないとすると、今年度の133兆円から実質ベースで1割も削減する緊縮予算で、プライマリーバランスも黒字になる。
積極財政を掲げた高市政権が、なぜ緊縮予算を組んだのか。それは物価を上げて税収を上げたインフレ増税のおかげである。政府支出や公共料金は名目ベースで固定されているが、たとえば消費税収は物価が上がると増えるので税収は上がるからだ。
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積極財政を掲げた高市政権が、なぜ緊縮予算を組んだのか。それは物価を上げて税収を上げたインフレ増税のおかげである。政府支出や公共料金は名目ベースで固定されているが、たとえば消費税収は物価が上がると増えるので税収は上がるからだ。
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きょうは電通社員だった高橋まつりさん(享年24歳)が自殺してから10年目である。母親はきのう記者会見を開いて「過労死をなくしてほしい」と訴えたが、あの事件は母親の意図とは違う意味で労働行政を大きく変え、労働者を不幸にした。
「過労死」というのは日本独特の概念で、今は海外でもkaroshiで通じる。それは世界にほとんど類例のない奇妙な現象である。自殺するぐらいなら会社をやめればいいのだが、会社という共同体に埋め込まれた日本の会社員にとって、会社をやめることは死ぬよりつらいのだ。
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「過労死はなくなっていない」高橋まつりさんの過労自殺から25日で10年 自身の体験を語り続ける母親 労働時間規制の緩和検討への思いとは【news23】 | TBS NEWS DIG (1ページ) https://t.co/6qErgOe1r8
— 高橋 幸美 (@yuki843003) December 24, 2025
「過労死」というのは日本独特の概念で、今は海外でもkaroshiで通じる。それは世界にほとんど類例のない奇妙な現象である。自殺するぐらいなら会社をやめればいいのだが、会社という共同体に埋め込まれた日本の会社員にとって、会社をやめることは死ぬよりつらいのだ。
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社会科学で実験はできないといわれるが、サッチャーの緊縮財政は歴史的な実験だった。インフレ率と失業率が10%を超える状況で政策金利を上げることは、常識では考えられない。1970年代の労働党政権は「社会契約」と呼ばれる価格統制で賃金を抑制しようとしたが、労働組合はそれに反抗し、ゼネストで警察や鉄道が止まって社会が麻痺した。
サッチャー政権の経済政策は、フリードマンの自然失業率の理論の実験だった。それによれば、インフレ率と失業率がともに上がるスタグフレーションの原因は、人々がインフレ予想をもっているためなので、まずやるべきなのは金利を上げてインフレを止めることだ。
不況の最中に金利を上げると失業率は上がるが、そのまま金利を下げないでインフレを抑え込み、インフレ予想がなくなれば物価は落ち着き、失業率も下がるはずだ、というのがフリードマンの理論だったが、政治的に危険なので、アメリカでも実験できなかった。
しかし1979年のイギリスでは社会が麻痺し、政権は追い込まれていた。インフレを止めないとストライキも止まらず、社会が崩壊する危機に瀕していた。サッチャーは「他に選択肢はない」(There is no alternative)という危機感から緊縮財政を選んだのだ。続きを読む
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