科学/文化

日本のソーシャル・キャピタルは「最古層」にある

『平和の遺伝子』では日本の将来について悲観的なことを書きすぎたので、楽観的な未来も書いておこう。

日本人の最大の幸運は、おそらく世界でもっとも戦争の少ない島国で平和に暮らしてきたことだ。おかげで伝統が継承され、人々は礼儀正しく、古い文化が残っている。他にも次のような特徴がある:
  • 都市の治安がよく、清潔だ
  • 食事が多様でおいしい
  • 公共交通が整備され、時間通り来る
  • 医療制度が充実し、寿命が長い
  • 上下水道・道路・電気などのインフラが整っている
これは社会学的にいうとソーシャル・キャピタルが蓄積されているということだ。それはGDPのように計測できないが、たとえばSocial Capital Indexでは次のように日本が世界一である。

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続きは3月31日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

GPTの語る「幻覚」は統合失調症に似ている

GPTの訓練データはインターネットで検索した結果を蓄積しているので、最新のニュースについての質問は苦手だ。それだけならいいのだが、間違った情報をもとに幻覚(hallucination)を語ることがたまにある。さっきそれに遭遇した。

Q. 石破首相はインフレについてどう発言していますか?
GPT:現時点(2025年3月)では、石破茂氏は首相ではありません。もし仮に「石破茂氏が首相だったらどう発言するか?」という仮定の話でしたら、それに沿ってお答えできます!

■ 現実の立場(2025年3月時点)
  • 石破茂氏は自民党の実力者の一人で、過去に何度も総裁選に挑戦してきましたが、岸田文雄首相が政権を維持しています。
  • 現在は閣僚でもなく、あくまで党内のベテラン議員という立場です。
■ 石破氏の物価やインフレに関するスタンス(過去の発言などから)

石破氏は、比較的国民生活に寄り添った視点を強調することが多く、以下のようなスタンスが見られます(以下略)

ここには大規模言語モデル(LLM)の限界があらわれている。GPTは訓練データの中から質問に似た言葉を探してくるだけで意味を理解していないので、データの中で「石破氏は首相ではない」という古い情報を見つけると、他の情報でチェックしないで、それにもとづく物語を語り始める。

これはフロイトの扱った有名な「シュレーバー症例」とよく似ている。ドレスデンの控訴院議長だったD.P.シュレーバーは、幻覚や妄想を語って精神病院に収容され、その入院生活を語る詳細な『回顧録』を書いた。それは理路整然と書かれているが、「私は女である」という妄想にもとづく膨大な記録だった。

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高額療養費制度は過剰医療や延命治療の温床

厚生労働省は高額療養費制度の負担増について見直す方針を決めた。これは命にかかわる抗癌剤などの負担が軽減される一方、無駄な延命治療につながるとの批判も強い。

高額療養費制度とは?

  • 医療費が一定額を超えた場合に、超過分を公的医療保険が補助する制度。
  • これにより、患者は高額な医療費を支払う必要がなくなり、経済的負担を軽減できる。1ヶ月300万円の抗癌剤も、保険適用になれば以下のような負担額で使える。
  • 生命にかかわるリスクを軽減することは保険医療のコア機能。窓口負担を増やして高額療養費制度に重点を置くべきだが、現状は過剰医療の温床になっている。
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医師会が「容認できない」と猛反発する「OTC類似薬」とは?

日本維新の会が提案しているOTC類似薬の保険適用除外について、日本医師会が記者会見で「容認できない」と反論した。

OTC類似薬とは?
  • 市販薬(OTC医薬品)と効果やリスクがほとんど同じなのに処方箋が必要な医薬品。
  • 他国では医薬品のリスクレベルに応じて処方箋の要否を決定する仕組みが整備されているが、日本では基準が不明確。


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AIでホワイトカラーの仕事がなくなる時代に大学無償化は必要か?

日本維新の会の前原共同代表は「教育無償化」を掲げ、与党と交渉している。今年の4月から全国の高校を無償化し、最終的には大学も無償化しようというのだが、AI時代に意味があるのだろうか。



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地球温暖化は加速しているが、その原因はCO2ではない

The Guardianは2月4日、気候変動の分野の指導的な研究者として知られるジェームズ・ハンセン教授(1988年にアメリカ議会で気候変動について初めて証言した)が「地球温暖化は加速している」と警告する論文を発表したという記事を掲載した。



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選択的夫婦別姓に反対する保守派の思想は「家」制度の男尊女卑

今度の国会に選択的夫婦別姓を認める民法・戸籍法の改正案が提出される見通しなので、チャットGPTにその意味をきいてみました。


Q. 選択的夫婦別姓を認める民法改正案の内容はどうなるんですか?

GPT:現時点では、具体的な法案の内容は正式に公表されていませんが、1996年に閣議決定され、国会に提出された法制審議会の答申から、改正案に盛り込まれる可能性のある主要なポイントを以下にまとめます。
  1. 夫婦の氏の選択: 選択的夫婦別姓制度の導入により、夫婦が希望する場合には、結婚後もそれぞれの結婚前の氏を保持することが可能となります。

  2. 子どもの氏の決定:夫婦が別姓を選択した場合、婚姻時に子どもの氏を夫または妻のいずれかの氏に決定する必要があります。子どもが複数いる場合、全員が同じ氏を名乗ります
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地球は氷河期になる(アーカイブ記事)

IPCCのリーダー、スティーヴン・シュナイダーは、"Atmospheric Carbon Dioxide and Aerosols: Effects of Large Increases on Global Climate" (Science 173, 138-141)で、次のように述べた:
今後50年間で、大気汚染の可能性は 6~8倍に増加すると予測されている。この注入率の増加により、大気の背景不透明度が4倍に上昇すると、われわれの計算では地球の気温が3.5℃も低下することが示唆される。地球の平均気温がこのような大幅な低下を数年間にわたって継続すると、氷河期を引き起こすのに十分だと考えられる。
彼の予測によれば、大気汚染で太陽光線が遮断される効果によって地表の温度は今後50年間に3.5℃も下がり、地球は氷河期に入るおそれが強い。凍死者の数は温暖化による死者の10倍にのぼるので、これは温暖化よりもはるかに重大な問題だ。続きを読む

地球温暖化が加速した原因は中国とインドの大気汚染の減少

2024年の世界平均気温は1.6℃で、パリ協定の努力目標1.5℃を超えた。これについて日経新聞を初めとするマスコミは「脱炭素化の加速が必要だ」と騒いでいるが、それは科学的に正しくない。

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「ゼロリスク」を叫んでも社会は変わらない(アーカイブ記事)



今夜の言論アリーナでは、中西準子氏(産業技術総合研究所フェロー)の話を聞いた。メインテーマは除染で、彼女の提案している5mSv/年という基準をめぐる科学的な議論だが、それは放送を聞いてもらうとして、印象に残ったのは日本の反公害運動の元祖としての思い出話だった。続きを読む


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