科学/文化

占領体制が宗教法人法を生んだ

統一教会をめぐる騒ぎでは「憲法の政教分離の原則に反する」という議論がよくあるが、憲法に政教分離という言葉はない。憲法20条はこう定めている。
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
これは信教の自由を保証する規定であり、政教分離(国家の宗教への不介入)はそれを保証する制度だから、宗教団体が特定の政治家を応援することは憲法違反ではない。それは創価学会と公明党の関係をみれば明らかだろう。

明治憲法では神社は「宗教」ではないとして国家護持されたが、1945年12月の神道指令で国家神道は廃止された。ほぼ同時に制定された宗教法人令で、神社も寺院もキリスト教も同格の「宗教法人」として認められた。GHQは日本人を啓蒙するために、キリスト教を普及させようとしたのだ。

国家による審査を廃止し、新宗教も届け出だけで認められて非課税となったので、全国で宗教法人の申請が激増した。それを整理するために文部省や自治体の「認証」が必要だと規定したのが、1949年にできた宗教法人法である。

GHQが占領政策の最初に国家神道を廃止し、宗教法人に強い保護を与えたことは、それが占領体制の重要な一環だという印象を与えた。それが今も宗教法人が強く保護されている原因である。続きを読む

「超過死亡マイナス1万人」をどうみるか

マスコミは「コロナ死者が史上最多になった」と騒いでいるが、JBpressでも書いたように、これは速報ベースの死因であり、死亡診断書にもとづく正式の人口動態統計が出るまでは何ともいえない。

WHOの発表した2020~21年の世界各国の超過死亡率で、日本は10万人あたりマイナス8人、人口でいうとマイナス約1万人の過少死亡だった。

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世界の超過死亡率(Nature)

これは2021年のデルタ株までだが、今年に入って超過死亡が増える傾向もみられる。国立感染症研究所の超過死亡ダッシュボードでは、オミクロン株の超過死亡はかなり大きい。これをどうみるかは、今後の感染症対策を考える上で重要である。

続きは8月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

コロナ対策のコストの99%は浪費だった

コロナ分科会の尾身会長など有志7人の専門家が「コロナの全数把握をやめるべきだ」と提言し、感染症学会など4学会が「コロナは普通の風邪だ」という見解を発表して、日本のコロナ対策はそろそろ平常に戻りそうだ。



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薬剤師って必要なの?


このツイートが、450万インプレッションを超えました。1500以上のコメント(引用RT)がつきましたが、ほとんどが「薬剤師は袋詰めしてるだけじゃない」とか「こんなに大事な仕事してるんだ」というコメントでした。そんなことはわかってますが、問題はそこではないのです。

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「医薬分業」をやめて処方薬は自動販売機で売ればいい



薬学部なんかいらないという私のツイートに900以上のコメントが来た。ほとんどが「薬剤師は袋詰めやってるだけじゃない」という反発だが、薬剤師がいかに大事な職業であろうと、それ以外の人が薬を出すことを禁じる業務独占は必要ない。

免許制度をやめてドラッグストアで処方薬が買えるようにすれば、調剤薬局は減り、32万人もいる薬剤師は削減できるが、それだけでは医療費はあまり削減できない。薬価や技術料は保険点数で決まっており、処方薬は医師の診察を受けないと買えないからだ。

海外では、処方薬も病院内の自動販売機で売っている。病院の診察カードに処方箋データを書き込み、それを自販機に読ませるだけだ。すべての処方薬を自販機で売ることはできないが、他の処方薬は窓口でレセコン(レセプトを発行するコンピュータ)で出せば、薬剤師はいらない。

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日本でも大衆薬は自販機で売っているので、処方薬も同じことができるが、やっている病院はない。厚労省が医薬分業のため、院外処方箋を出して調剤薬局で薬を出すよう指導しているからだ。

続きは7月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

薬学部も薬剤師免許もいらない


このツイートが炎上しているが、私は薬剤師が不要だといっているわけではない。処方箋の通り薬を出すのに職業免許は必要なく、薬学部で6年も勉強する必要はない。専門学校で2年ぐらい勉強して資格認定すれば十分だといっているのだ。

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地球温暖化で生命が救われる

IPCC第6次評価報告書の第3作業部会の報告書が発表された。この作業部会は第1・第2作業部会の報告を受け、それに対する政策をまとめたものだ。

2月28日に出た第2作業部会の報告書は、ウクライナ戦争の勃発直後で、ほとんど注目されなかったが、その中で1ヶ所、注目すべき点がある。IPCCは全体として地球温暖化の脅威を強調しているが、温暖化による超過死亡率というセクション(9.10.2.3.1)は微妙な表現になっているのだ。
アフリカのすべての原因による気温に関連する死亡リスクは地球温暖化で増大し、年間10万人あたり50~180人の超過死亡が見込まれる。しかし寒冷化による死者を経験している一部の地域では、温暖化によって気温関連の死亡リスクが低下すると予測されている。

「気温に関連する死亡リスク」は温暖化と寒冷化を含む。その死亡率がもっとも高いのはアフリカだが、図のように温度変化による死者は、現状から2℃上昇程度のゆるやかな温暖化(RCP4.5)より、4.8℃上昇する激しい温暖化(RCP8.5)のほうが少なくなるとIPCCは予測している(図のcの緑の部分)。つまり温暖化で死亡率は下がるのだ

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アフリカの気温に関連する死亡率の変化(IPCC第6次評価報告書第3部会)

その原因は、この図の説明にも書かれているように、寒冷化が気温に関連する死亡の最大の原因だからである。アフリカでこうなのだから、他の大陸、特にロシアやカナダでは、温暖化でもっと死者は減る。これは前にも紹介したLancet論文の結果だが、他の研究でも支持されている。

続きは4月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

プーチンは「ストレンジラブ博士」になるのか



スタンリー・キューブリックのDr. Strangeloveは、私の歴代映画ベストワンである。日本では「博士の異常な愛情」という変なタイトルで公開されたが、原題は"Dr. Strangelove: or How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb"。タイトルは主人公の名前である。

あらすじ:アメリカ空軍の司令官が精神に異常をきたし、警戒飛行中だった戦略爆撃機34機に対し、ソ連への核攻撃を行うよう命令した。空軍司令部は爆撃機の大部分を呼び戻したが、一部の爆撃機に連絡する暗号がわからない。これを知った米大統領や軍高官、大統領科学顧問のストレンジラブ博士は、ペンタゴンの戦略会議室に集結して対策を協議した。

大統領はソ連の首相に「連絡がとれなかったら爆撃機を撃墜してほしい」と電話するが、ソ連首相は、核攻撃を受けた場合、自動的に大量の核兵器を発射して人類を全滅させるドゥームズデイ・マシンという装置を実戦配備したことを告げる。米大統領はストレンジラブ博士に対策を相談するが、彼は「全国民が地下シェルターの中で暮らすしかない」と告げる…

公開は冷戦初期の1964年。米ソが人類を全滅させられる量の核兵器を保有するようになった時期である。この映画は、自動的に報復して相手を全滅させる相互確証破壊(MAD)という戦略がいかにバカげたアイディアかをブラックコメディとして描いたものだが、ウクライナ戦争でもMADの危険性が明らかになった。

続きは3月7日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

コロナ死者数は「過去最大」なのか


忽那賢志氏の記事が炎上している。彼は次のグラフを出して「オミクロンの死者は過去最大でデルタより多い」というのだが、それは本当だろうか。



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地球温暖化の始まった原因は農耕だった?

人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか (ブルーバックス)
2年前に紹介した本が話題になっているので、ちょっとテクニカルな問題について補足しておく。

本書は福井県の湖の地層から過去15万年の気候を推定したもので、地球は長期的には地球の公転運動で寒冷化し、氷河期だったが、1.2万年前から温暖化が始まった。世の中では地球温暖化は「産業革命以後」の出来事と思われているが、図1のように温暖化のトレンドはそれよりはるかに早くから始まり、1万年以上続いているのだ。

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図1

1.2万年前に温暖化が始まった原因は太陽活動や地球の公転周期の変化と考えられるが、8000年前から、それまでにないパターンの温暖化が始まった。その一つの原因は、大気中の温室効果ガス濃度が増えたことだ。図2のようにメタン濃度は5000年前から増え始めた。

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図2

CO2は図3のように、8000年前から増え始めた。

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図3

この温室効果ガスのデータはおおむね正しいとされているが、問題はその濃度がなぜトレンドから外れて上がったかだ。その原因は、人類の始めた農耕と森林伐採だったというのが、本書の紹介しているラディマン仮説である。

続きは2月7日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)



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