科学/文化

コロナワクチン被害の比較データが必要だ


この文春の記事は重要な問題提起だが、これについているコミュニティノートがおもしろい。「ワクチンが原因だと主張するためには接種群と非接種群の比較が必要です」というのはその通りだ。

このノートの引用した論文を読むと、確かにリンパ節腫脹(limpaadenopathy)はワクチン接種者(青)の発症率が高いが、不整脈(arrhythmia)は非接種のコロナ感染者(赤)のほうが高い。全体として普通のワクチンより特に大きな副反応はない。

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しかし日本では厚労省と感染研が個人別データを出さないので、こういう調査ができない。あるのはワクチン接種がなかったら36万人死んだはずだという西浦博氏の誇大妄想ぐらいだ。

続きは3月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

2023年の死亡数はなぜ史上最高になったのか



2023年の死亡数は3年連続で増加して約160万人となり、過去最高だった。超過死亡数も昨シーズン(2022年12月~23年2月)は史上最高となった。コロナ流行が始まった2020年はマイナスだった超過死亡数がワクチン接種の始まった2021年から増え、欧米とほとんど変わらなくなったのだ。

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昨シーズンは世界的にもオミクロン株の流行で死者が増えたが、日本の超過死亡数はコロナ死者数の3倍以上だった。超過死亡は平年にはない現象(感染症や災害)によるものだが、コロナ以外に大きな感染症があったわけではない。

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小島勢二氏のアゴラ記事より

これは医療の逼迫などによる「コロナ関連死」だというのが厚労省の見解だが、コロナ死より関連死のほうが多いのは不自然だ。昨シーズンは日本のワクチン接種率が世界一になった時期でもある。ワクチンは本当に命を救ったのだろうか?

続きは3月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

新型コロナワクチンは予防接種の安全基準を満たしているのか

コロナワクチン(特にmRNAワクチン)をめぐる議論は専門的になりすぎ、反ワクチン派の偽情報が乱れ飛んで、一般の人にわからなくなっているが、ちょっと問題を整理しておこう。予防接種の安全性には、次のような基準が考えられる。
  1. コロナワクチンは絶対安全なのか?
  2. リスクがゼロでない場合、予防接種としての安全性基準を満たしているのか?
  3. ワクチン接種で避けられた被害はワクチンの薬害より大きかったのか?
このうち河野大臣や医クラの主張していた1は問題外であり、厚労省も死亡例を認めている。では2はどうなのか。Geminiにきいてみた。

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外国人の国保と生活保護へのただ乗りを許すな

ガーナ国籍のシアウ・ジョンソン・クワク(33)が、千葉市が生活保護の申請を却下したのは違法だと訴えた行政訴訟で、千葉地裁は16日、原告の請求を却下した。

この裁判をめぐっては、朝日新聞や東京新聞がお涙ちょうだいのキャンペーンを続けてきたが、裁判所は「外国人は生活保護の対象ではない」という生活保護法の規定にもとづいて判断したわけだ。


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今年の音楽ベスト10

Javelin (To Have And To Hold)
毎年、池田信夫ブログマガジンで「今年の音楽ベスト5」を紹介しているが、アゴラでもたまには音楽ネタとしてベスト10を選んでみよう。私は音楽評論家ではないので、これは個人的な趣味である。
  1. Sufjan Stevens: Javelin
  2. Geri Allen & Kurt Rosenwinkel: A Lovesome Thing
  3. Ambrose Akinmusire: Owl Song
  4. Mitski: The Land Is Inhospitable and So Are We
  5. Allison Miller: Rivers In Our Veins
  6. Lana Del Rey: Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd
  7. Matthew Halsal: An Ever Changing View
  8. Wolfgang Muthspiel: Dance of the Elders
  9. Julie Byrne: The Greater Wings
  10. Brad Mehldau: Your Mother Should Know
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老人医療無料化の生んだ「過剰医療」の呪いは消えない

大阪府に続いて東京都の小池知事も、高校を全面無償化する方針を決めた。これは「無償化」と銘打っているが、教育サービスが無料になるわけではない。公立・私立ともに学費は発生するが、それを納税者が負担するだけである。このようなバラマキは、ポピュリズムの常套手段である。

かつて美濃部都知事は1969年に70歳以上の老人医療を無料化し、これが革新自治体に広がった。これを1973年に田中角栄首相が全国に拡大し、30年も続いた(1983年から入院費が1日300円になっただけ)。

その影響は大きかった。無料化で老人の入院コストはゼロになったので、老人ホームの代わりに病院を使う傾向が強まった。病院も入院だけならコストはかからず、点数も高いので、ベッドを増やして長期入院させた。

先進国では医療技術の高度化で入院日数は縮まったが、図1のように日本では老人医療が無料化された1970年ごろから入院日数が大きく伸び、世界一になった。同じ理由で人口当たりのベッド数も世界一になった。



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2022年 超過死亡倍増の謎



これは22日に収録した討論会だが、3時間41分もあり、内容も未整理で、このままでは聞くに堪えない(最初の1時間は飛ばしたほうがいい)。ただ噛み合わない議論の中で、一つだけわかったことがある。それは2022年に超過死亡が倍増した原因がいまだにわからないということだ。

一つの仮説はコロナ感染者が増えたということだが、このうちコロナ死者は4万人しかいない。あとの7万3000人のうち、最大の死因は老衰である。これ以外にも、誤嚥性肺炎やアルツハイマーやパーキンソンといったコロナと無関係な慢性疾患の死者が激増した。
この原因として次の3つが考えられる。
  1. ワクチン接種の影響
  2. 長期間隔離されて体力が落ちた
  3. コロナ偏重の医療体制で慢性疾患が放置された
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超過死亡数が倍増した原因は「コロナ補助金」

昨年の超過死亡数は11万3000人と、一昨年の5万人の2倍以上になった。2020年にはマイナス3万人だった超過死亡数が、感染症対策やワクチン接種のあと激増したのはなぜだろうか。日本の感染症対策には、何か致命的な見落としがあるのではないか。



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アイヌは「先住民族」ではない


北海道大学の教員(大学院保健科学研究院の境信哉教授)が「アイヌは先住民族でないことは確かです」などとツイッターに書いたことが「不適切発言」だとして、大学が削除させた。これは大学に活動家が「差別発言だ」と抗議したためらしい。

2019年にアイヌ民族支援法で、アイヌを「北海道の先住民族」と規定したが、これは学問的には誤りである。境氏の話は、歴史的には正しい。

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「新型インフル等感染症」は民主党政権の呪い



新型コロナが4月から5類に移行する見通しだが、新型コロナウイルス感染症を「新型インフルエンザ等感染症」と呼ぶのは奇妙である。これは感染症法の2類とも5類とも違う。こういう混乱した分類が続いてきたのは政治的な事情がある。

コロナの流行が始まった2020年2月に、暫定的に「指定感染症」に分類したのはやむをえなかったが、3月に新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)を適用したのが脱線の始まりだった。この法律は2012年に民主党政権がつくったもので、対象はその名の通り2009年のような新型インフルだった。

ところがその第2条に「新感染症にも適用できる」と書かれていることを根拠にして、この法律が流用された。「新感染症」は病原体が未知の感染症の暫定的な分類だが、当時すでに新型コロナウイルスは同定されていたのでおかしいという批判が専門家から出た。だがこの法律が民主党政権で制定されたので、野党が文句をいわないという国会対策で適用が決まった。

ここには大きな問題があった。特措法は2012年にできた新型インフルエンザ等対策政府行動計画にもとづいてつくられたのだが、これは2500万人が感染して最大64万人が死亡する最大級のパンデミックを想定していた。

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ここでは感染が指数関数的に拡大して「医療提供のキャパシティ」を超えることをを防ぐために緊急事態宣言を発動できることになっていた。これは感染症法の2類とは異なる医療資源を守る行動計画だったのだが、実際のコロナはその想定とはまったく違っていた。

続きは1月23日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
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