インフレ税の一つのリスクは、国債の暴落である。日本国債の価格は過大評価されており、「国債バブル」が崩壊すると長期金利が上がり、日銀がそれを引き受けて通貨を大量に発行するとハイパーインフレが起こる――というホラーストーリーはよくあるが、それを具体的にシミュレーションした論文は少ない。
Del Negro & SimsはFTPL(物価水準の財政理論)で、インフレ税をシミュレーションしている。すべての経済主体が合理的である(予想がその通り実現する)と仮定すると、金融市場では何も起こらない。たとえば物価が200%になっても、名目金利も200%になるケース(Baseline)では国債の実質価値は同じなので、中銀のバランスシートは毀損しない。

インフレ税のシミュレーション(縦軸はインフレ率)
しかし投資家の予想が振動すると実質金利が上がり、中央銀行が物価をコントロールできない「爆発的経路」に入る。振動パラメータθπが2以上の場合にはインフレ率は2500%以上になって名目金利も発散し、中銀の実質資産はゼロに近づく。もちろんこれはFTPLの超合理的な世界で、現実には途中で止まるだろうとシムズも述べている。
日銀は2%のインフレ目標にも四苦八苦している状況だから、3%のインフレを実現するには政府と日銀のアコードを更新する必要がある。インフレ率が3%に満たない場合には政府が永久国債を発行し、日銀がそれを無制限に引き受けて通貨を供給すればよい。この場合、インフレと金利上昇が上の図のように暴走するリスクがあるので、それをコントロールするには、財政と金融の協調が必要である。
続きは12月1日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
Del Negro & SimsはFTPL(物価水準の財政理論)で、インフレ税をシミュレーションしている。すべての経済主体が合理的である(予想がその通り実現する)と仮定すると、金融市場では何も起こらない。たとえば物価が200%になっても、名目金利も200%になるケース(Baseline)では国債の実質価値は同じなので、中銀のバランスシートは毀損しない。

インフレ税のシミュレーション(縦軸はインフレ率)
しかし投資家の予想が振動すると実質金利が上がり、中央銀行が物価をコントロールできない「爆発的経路」に入る。振動パラメータθπが2以上の場合にはインフレ率は2500%以上になって名目金利も発散し、中銀の実質資産はゼロに近づく。もちろんこれはFTPLの超合理的な世界で、現実には途中で止まるだろうとシムズも述べている。
日銀は2%のインフレ目標にも四苦八苦している状況だから、3%のインフレを実現するには政府と日銀のアコードを更新する必要がある。インフレ率が3%に満たない場合には政府が永久国債を発行し、日銀がそれを無制限に引き受けて通貨を供給すればよい。この場合、インフレと金利上昇が上の図のように暴走するリスクがあるので、それをコントロールするには、財政と金融の協調が必要である。
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