政府の「日本成長戦略会議」で減価償却費の一括計上が議論された。これは自民党総裁選挙で茂木候補があげた公約だが、単なる投資減税ではなく、法人課税の全面的改革の第一歩になる可能性がある。

チャットGPTの解説:減価償却の廃止(一括計上)という提案は、Alan J. Auerbachらが提唱する税制改革の理論的帰結の一つです。以下で体系的に解説します。

法人所得税はゆがみが大きい

現在の法人所得税は会計操作の余地が大きく、日本では企業の60%以上が赤字法人で税を払っていないなど、ゆがみの大きい税として知られています。法人所得は海外移転などで減額できるため、租税回避を促進します。

特にゆがみが大きいのが減価償却です。法人税は投資の時点で支出した資本財(設備など)を減価償却で分割して控除しますが、これは投資のタイミングによって課税の現在価値が変わり、過少投資になります。

また減価償却には裁量の余地が大きいため企業の会計操作に使われやすく、税務当局の裁量も大きいので、租税特別措置のような特定の企業の優遇措置として使われます。

「キャッシュフロー税」で減価償却を廃止する

Auerbachは、これを根本的に修正するためにキャッシュフロー税(CFT)を提唱しました。その基本原理は課税対象をキャッシュフロー(現金の流入-流出)に変えるものです。つまり:

 •投資も現金流出なので即時一括控除。
 •減価償却の概念が不要(廃止)。
 •課税ベースは「営業収入-経費-投資支出」。

AuerbachとDevereuxは、さらにこのCFTを貿易取引に適用して、DBCFT(Destination-Based Cash Flow Tax)を提案しました。これは「どこで生産したか」ではなく「どこで消費されたか」に基づいて課税します。

これによって法人所得税はなくなり、VATのようなキャッシュフロー課税に一元化され、大幅に簡素化されます。政府の裁量や会計操作の余地が少なくなり、法人税の国際的な租税競争を回避できます。

ただし現行の法人所得税のもとで投資を一括償却すると、法人税がゼロになったり、財政赤字が増えたりして大きな問題が起こります。政府の提案は設備投資減税として出ているようですが、税制の整合性という点で疑問があります。

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