アトキンソンさんと話して思ったのは、不良債権処理はまだ終わっていないということだ。彼が徳政令を提案したころは20兆円ぐらいだった不動産の評価損は、2003年には112兆円に拡大したが、清算したのは不動産だけで、それ以外の不良債権の処理は先送りした。
2000年代に日銀がゼロ金利にしたのも、こうしたゾンビ企業(営業利益で金利を払えない企業)を延命するためだった。ゾンビ企業は金利をゼロにすれば生きながらえる。それを清算して人的・物的資源を再配分すると生産性は上がるのだが、大量のマネーを供給して企業のサンクコストを守ったのがアベノミクスである。
企業はあり余る資金を貯蓄に回し、貯蓄過剰になった。図のように1997年まで投資主体(マイナス)だった企業が、98年から貯蓄主体に変わり、今に至っている。これがいわゆる内部留保で、今は累計600兆円にのぼる。

資本主義は企業が金を借りて投資するシステムだから、企業が貯蓄していては成長するはずがない。これが日本経済の最大の構造問題である。その原因は、企業が継続してきたサンクコストを大事にする日本企業の体質である。
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