世界一わかりやすい量子力学 (ハヤカワ文庫NF)
量子力学には例外がない。シュレーディンガー方程式に反する現象は、素粒子から宇宙に至るまで、今のところ一つも見つかっていないのだ。1972年にその反例を見つけようとした大学院生ジョン・クラウザーがいた。

彼が実験したのは、ベルの不等式だった。これは粒子と粒子の間に相互作用がないことを示す式で、シュレーディンガー方程式が正しいと成り立たない。これを観測するには次のように観測装置AとBの間にまったく相互作用のない実験装置をつくり、粒子aとbのスピンに相関があるかどうかを観測する。

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実験の結果、クラウザーの予想に反して相関が観測され、ベルの不等式は成り立たないことがわかった。遠く離れた粒子の間にも量子もつれと呼ばれる(光速を超える)遠隔作用があり、実験装置がいかに離れていても粒子aとbのスピンは相関するのだ。

これは単に量子力学が正しいことを証明しただけの実験結果として忘れられたが、クラウザーは2022年に(本書の著者など2人とともに)ノーベル賞を受賞した。それは量子もつれを応用した量子コンピュータが実現したからだ。

量子もつれは電子と電子が相互作用するときつねに起こるので、あなたの身体の中でも起こっているが、直観的には理解できない。電子は他の電子から独立した客観的実在ではなく、観測によって初めて位置と運動量が一義的に決まるのだ。

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