参院選は「給付金か消費減税か」というバラマキ合戦になってきたが、これは今に始まったことではない。20世紀に慢性的なインフレが続いた大きな原因はケインズ政策による政治家のバラマキで、その反省から総需要のコントロールは金融政策でおこなうことになった。
しかし21世紀にはゼロ金利で金融政策がきかなくなり、財政の時代が戻ってきた。かつてはそれに財政赤字の制約があったが、今は低金利でそれがなくなり、曖昧な予算制約(soft budget constraint)の時代になったのだ。これはコルナイが、社会主義の崩壊した原因として指摘したものだ。
ハンガリーでは「モノバンク」と呼ばれる国営銀行がすべての国営企業に資金を供給したので、企業に予算制約はなく、生産は政治で決まった。赤字が出ても国営企業がつぶれることはなく、モノバンクが紙幣を印刷すればいい。
それが社会主義の最大の欠陥だった。破綻しない国営銀行は政治的に声の大きい企業に資金を提供し、赤字になっても追い貸しで延命する。その結果、多くの非効率な企業が生き残り、無駄な商品の膨大な在庫が積み上がる一方、必需品には行列ができた。
日本の社会保障が問題なのは、財政が破綻するからではない。日銀が国債を買えば、デフォルトは起こりえない。問題は曖昧な予算制約(SBC)で過剰投資が起こり、資源配分がゆがむことなのだ。それはかつて社会主義を滅ぼし、日本でも医療・介護の労働人口は900万人で、2030年代には製造業を超える最大の産業になる。その膨大な非効率性が日本経済の衰退の原因である。
きょうから始まるアゴラセミナー「人生100年時代」でも、このような経済問題として社会保障を考えたい。
続きはアゴラサロンでどうぞ(初月無料)
しかし21世紀にはゼロ金利で金融政策がきかなくなり、財政の時代が戻ってきた。かつてはそれに財政赤字の制約があったが、今は低金利でそれがなくなり、曖昧な予算制約(soft budget constraint)の時代になったのだ。これはコルナイが、社会主義の崩壊した原因として指摘したものだ。
ハンガリーでは「モノバンク」と呼ばれる国営銀行がすべての国営企業に資金を供給したので、企業に予算制約はなく、生産は政治で決まった。赤字が出ても国営企業がつぶれることはなく、モノバンクが紙幣を印刷すればいい。
それが社会主義の最大の欠陥だった。破綻しない国営銀行は政治的に声の大きい企業に資金を提供し、赤字になっても追い貸しで延命する。その結果、多くの非効率な企業が生き残り、無駄な商品の膨大な在庫が積み上がる一方、必需品には行列ができた。
日本の社会保障が問題なのは、財政が破綻するからではない。日銀が国債を買えば、デフォルトは起こりえない。問題は曖昧な予算制約(SBC)で過剰投資が起こり、資源配分がゆがむことなのだ。それはかつて社会主義を滅ぼし、日本でも医療・介護の労働人口は900万人で、2030年代には製造業を超える最大の産業になる。その膨大な非効率性が日本経済の衰退の原因である。
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