きのう橋下徹さんが噛みついてきて、Xでたくさんリプライをもらったので、簡単にまとめておく。彼のツイートは間違いだらけで反論する意味もないが、彼の話は維新の政策に影響を与えるので、間違いを指摘しておく意味はあるだろう。

まず「政府の赤字国債を日銀が通貨発行益で発行した日銀券で買ったらどうなる?」という文が意味不明である。通貨発行益とは日銀ホームページによると

日本銀行の利益の大部分は、銀行券(日本銀行にとっては無利子の負債)の発行と引き換えに保有する有利子の資産(国債、貸出金等)から発生する利息収入で、こうした利益は、通貨発行益と呼ばれます。

つまり通貨発行益とは国債などの利息収入のことで、すべて国庫納付金として政府に納める。したがって「通貨発行益で発行した日銀券」という日本語は意味をなさない。

日銀の買った国債が日銀の資産になるというのは正しいが、その見合いに市中銀行に対する日銀当座預金という負債が発生するので、日銀は得も損もしていない。「通貨発行益のマジック」なんてないのだ。

問題は民間金融機関が日銀に政府赤字国債を売却した対価の日銀券を、日銀当座預金に積んだ付利

これも日本語として意味をなさない。日銀当座預金は銀行が日銀に預けることを義務づけられている準備預金で、法定準備を超える超過準備には金利がつく。これを付利と呼び、政策金利(今は0.5%)の誘導目標である。

ところが橋下さんは日銀当座預金は負債ではないので、付利をゼロにしろという。そんなことをしたら、市中銀行は超過準備を取り崩して貸し出しに回し、政策金利がコントロールできなくなる。

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