トランプ関税でインフレになるというのが大方の予想だが、ベッセント財務長官はトランプ関税の実施前の議会証言で「関税を10%かけるとドルが4%高くなってインフレを相殺できる」という見方を示した。これは国際経済学の教科書に載っている最適関税理論にもとづくものだ。
アダム・スミス以来、自由貿易が最適だというのが通念になっているが、これは厳密には正しくない。アメリカのような大国(国際価格を変えられる国)が小国(所与の価格を受け入れる国)に対して一方的に関税をかける場合には、関税で貿易利益を得ることができる。
たとえばアメリカが原油に関税をかけると輸入が減り、原油価格は下がる。それによって国内価格は上がるが、貿易赤字が減ってドルが上がるので輸入価格は下がる。このインフレの損失とドル高の利益はトレードオフだが、ある水準までは利益のほうが大きい。いいかえれば最適関税はプラスなのだ。
ミランのマールアラーゴ合意には「アメリカの最適関税率は20%だ」と書かれている。これはCostinot & Rodriguez-Clareの計算で、図のようにアメリカでは関税率が20%のとき利益が最大になり、50%まではプラスである。

トランプ関税のベースライン10%は最適関税の範囲内なのでアメリカの国益になる、というのがミランの主張だが、これは大事な条件を無視している。
続きは4月28日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
アダム・スミス以来、自由貿易が最適だというのが通念になっているが、これは厳密には正しくない。アメリカのような大国(国際価格を変えられる国)が小国(所与の価格を受け入れる国)に対して一方的に関税をかける場合には、関税で貿易利益を得ることができる。
たとえばアメリカが原油に関税をかけると輸入が減り、原油価格は下がる。それによって国内価格は上がるが、貿易赤字が減ってドルが上がるので輸入価格は下がる。このインフレの損失とドル高の利益はトレードオフだが、ある水準までは利益のほうが大きい。いいかえれば最適関税はプラスなのだ。
ミランのマールアラーゴ合意には「アメリカの最適関税率は20%だ」と書かれている。これはCostinot & Rodriguez-Clareの計算で、図のようにアメリカでは関税率が20%のとき利益が最大になり、50%まではプラスである。

トランプ関税のベースライン10%は最適関税の範囲内なのでアメリカの国益になる、というのがミランの主張だが、これは大事な条件を無視している。
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