トランプ関税は土壇場で追加関税が一時延期され、最悪の事態は避けられたが、まだ米中対決は残っている。中国からの輸入品がアメリカの雇用を奪っているというのはトランプの1980年代からの信条だが、それ自体は間違いではない。
その代わりアメリカ人は、自分のつくれない半導体部品や自動車を買うことができる。両国が得意な分野に特化して貿易すれば世界全体が豊かになる――これが比較優位という経済学の常識だが、直感に反する。世界が幸福になっても、アメリカ国内で不平等が拡大することは事実である。この弊害を防ぐ方法は二つある:
一つはグローバリゼーションを止める保護主義である。トランプ関税は極端な例だが、それ以外にもEUがよくやる環境規制に名を借りた輸入規制など、巧妙な非関税障壁がある。もう一つはグローバリゼーションは認めた上で、所得再分配によって所得格差を事後的に是正することである。
ピケティは両方やれという。彼のいうように資本課税したらタックスヘイブンに資本逃避が起こるが、世界一律の法人税率を決め、それより低い国からの輸入品には差額関税をかけろという。彼は社会主義者を自認し、サンダースやウォーレンなどの民主党左派を支持する。
サンデルはそれに対して「なぜ不平等が問題なのか?」と問いかけるが、ピケティははぐらかして答えず、話は最後まで噛み合わない。
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その代わりアメリカ人は、自分のつくれない半導体部品や自動車を買うことができる。両国が得意な分野に特化して貿易すれば世界全体が豊かになる――これが比較優位という経済学の常識だが、直感に反する。世界が幸福になっても、アメリカ国内で不平等が拡大することは事実である。この弊害を防ぐ方法は二つある:
一つはグローバリゼーションを止める保護主義である。トランプ関税は極端な例だが、それ以外にもEUがよくやる環境規制に名を借りた輸入規制など、巧妙な非関税障壁がある。もう一つはグローバリゼーションは認めた上で、所得再分配によって所得格差を事後的に是正することである。
ピケティは両方やれという。彼のいうように資本課税したらタックスヘイブンに資本逃避が起こるが、世界一律の法人税率を決め、それより低い国からの輸入品には差額関税をかけろという。彼は社会主義者を自認し、サンダースやウォーレンなどの民主党左派を支持する。
サンデルはそれに対して「なぜ不平等が問題なのか?」と問いかけるが、ピケティははぐらかして答えず、話は最後まで噛み合わない。
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