
彼はボストン大学を出てハーバード大学で博士号を取り、ヘッジファンドのシニアアナリストになった。経済学者としてのキャリアはなく、その理論は常識では理解できないが、まずその内容を紹介しよう。
彼の理論を包括的に書いているのが、2024年11月に発表したグローバル貿易システムを再構築するための手引き、通称マールアラーゴ合意である。彼はこの論文で持続的ドル高がもたらす経済不均衡の是正に向けたロードマップを提示した。
アメリカの貿易赤字は24年に1.2兆ドルと史上最高を記録した。その原因はドルの過大評価だ、とミランはいう。ドルは各国で外貨準備として保有されているため、つねに貿易収支が均衡する水準より高い。
これを是正するのは、通常の多国間協定では不可能だ。そこで彼は、アメリカがその超大国としての地位を利用して、他国の外貨準備を減らす第2のプラザ合意を提案する。その方法は控えめにいって奇想天外である。
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