大地のノモストランプ・ゼレンスキー会談は決裂し、アメリカはウクライナから手を引く方針だ。これでトランプの予定通り、ウクライナはプーチンに売り渡されるだろう。それを批判することは容易だが、それ以外の選択肢はあったのだろうか。

プーチンの領土拡大の背景にあるのは、ヨーロッパに対する大ロシア(ロシア・ウクライナ・ベラルーシ)である。ロシアは地理的には東欧に分類されるが、アジア的専制という点では中国に近い。シュミットも指摘するように、ヨーロッパというラウム(圏)は近世以降の概念であり、プーチンの世界とは違う。

南北アメリカ大陸も一つのラウムである。これは1823年のモンロー主義宣言で決まったもので、第一にすべてのアメリカ諸国の独立、第二に植民地化の拒絶、第三に域外列強の不干渉だった。それは孤立主義ではなく、南北アメリカの連帯の宣言だった。

シュミットがラウムという概念を発想したヒントはモンロー主義だったが、ここから考えるとアメリカとヨーロッパとロシアが別々のラウムになることが自然だ。アメリカがヨーロッパを守るNATOのコストの7割を負担するのは割に合わない。NATOから脱退したいというトランプの欲求は歴史的に自然である。

続きはアゴラサロンでどうぞ(初月無料)