睡眠と覚醒をあやつる脳のメカニズム ~快眠のためのヒント20~ (扶桑社BOOKS新書)厚労省の調査によると5人に1人が睡眠に問題を抱え、8%が眠れないという症状を訴えているという。私も昔から不眠症である。きっかけは、NHKで泊まり勤務が続いたことだった。朝のニュース番組の泊まりは宿直室ではなく、大部屋のソファで寝る。ひっきりなしに外電が入ってくるので、ほとんど徹夜で体内時計が狂ってしまった。

寝ようとして強いウイスキーを飲むと体に悪いので、会社の診療所で睡眠薬をもらった。そのころ人気だったのがハルシオンである。飲むとすぐ眠れる切れのいい薬だが、鬱病などの副作用があり、最近はほとんど処方されない。

50歳過ぎてから、また睡眠薬を飲むようになった。睡眠薬というとこわがる人がいるが、今の薬は弱く、副作用はアルコールよりはるかに少ない。短時間型ではマイスリーが人気だが、こういうベンゾジアゼピン系の薬は依存性があり、アルツハイマー病のリスクがあるともいわれる。

このごろ人気があるのは、著者のチームが発見したオレキシンという物質をブロックする薬である。これは覚醒物質を抑制するので安全で、特にデエビゴ(物質名レンボレキサント)はよくきいて副作用がほとんどないので、最近はよく処方される。

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