自然エネルギー財団が2023年10月11日に私に対して起こした損害賠償請求訴訟は今年1月23日に判決が言い渡され、被告(私)が55万円を支払う判決が先週確定した。その理由は、次のような私の3つのツイートが名誉毀損だというものである。



これは秋本真利の逮捕のあと、自然エネ財団にも捜査が及ぶ可能性を述べただけだ。裁判所も大筋で私の主張を認めたが、「特捜のガサ」などの言葉が刑事事件を連想させる点に限定して、名誉毀損としては最少の賠償額になった。

真の「判決」は法廷外で下された

裁判は1年3ヶ月にわたったが、私は一度も出廷しなかった。裁きは法廷の外で下されたからだ。2024年3月23日から始まった内閣府の再エネタスクフォースをめぐる疑惑で原告の大林ミカは辞任し、再エネTFは解散し、自然エネ財団は政府の有識者会議から排除された。


私が大林ミカの一連の問題を追及したのは、訴訟に対する報復だった。あの訴訟がなければ、私は再エネTF(および自然エネ財団)をあれほど激しく追及しなかったが、それは予想以上の反響を呼んだ。

内閣府はあわてて大林ミカの提出した資料をウェブサイトから削除し、大林は再エネTFを辞任した。これは私の「大林ミカは、政府の再エネタスクフォースで、激しく利益誘導をやっている」という指摘を認めたのも同然である。

法的根拠もない再エネTFが霞が関の有識者会議で暴れ回った悪行が次々に暴かれ、TFは解散した。これで社会的制裁は十分受けたので、民事訴訟で争うまでもない。

史上最悪の「政商」孫正義

この訴訟は、自然エネルギー財団の会長である孫正義が私を脅して批判を封じるスラップ訴訟だった。しかし再エネTFが解体され、自然エネ財団が役所から排除されて、私の何倍も大きな損害をこうむったのは原告の孫である。

孫が3・11のあと民主党政権に食い込んで40円/kWhという世界最高のFIT買い取り価格を決めたため再エネ詐欺が横行し、その後20年以上にわたって電力利用者は40兆円以上の損害をこうむる。これこそ史上最大の詐欺であり、電力利用者は孫に対して損害賠償を請求する権利をもつ。

再エネTF事件をきっかけに再エネ詐欺は終わり、自然エネ財団を排除して第7次エネルギー基本計画が決まった。日本のエネルギー問題はようやく正常化に向かうが、この13年間に再エネ詐欺が日本経済に与えたダメージは大きい。電気料金は3・11前の2倍になって今後も上がり続け、電力供給は減って東京は停電の危機にさらされる。

孫正義は稀代の起業家だが、史上最悪の政商でもあった。かつて電波オークションを主張していた彼は、自分がボーダフォンの買収で電波をもつ立場になるとオークションに反対し、再エネ詐欺でもうけるだけもうけたら、再エネ事業を売却してAIに乗り換えようとしている。

しかし皮肉なことにソフトバンクのつくるデータセンターも、電力供給の見通しが立たない。不安定な再エネでは、高い電力品質を要求するハイテクは成り立たないのだ。再エネ詐欺は投資不足をもたらし、ハイテクも製造業も日本から出て行く。歴史の法廷では、孫は日本経済の衰退を加速した罪で被告席に立たされるだろう。