ヘーゲルというと権威主義的なプロイセンの御用学者というイメージが強いが、若いころのヘーゲルはフランス革命にあこがれる自由主義者だった。彼はアダム・スミスの愛読者だったが、イギリスの市民社会の本質を欲望の体系に求めた。
その市民社会(資本主義)の矛盾を克服する国家の役割を論じたのがヘーゲルの『法哲学』である。これはマルクスなどに圧倒的な影響を与え、今日の「グローバリズム批判」は、ほとんどこの亜流だといってもよい。
タイトルで「法」がカッコでくくられているが、これまで「法」と訳されてきたRechtは、第一義的には「権利」という意味である。つまり「法=権利の哲学」は、権利という概念を通してとらえた近代社会論なのだ。
ヘーゲルは権利の中核に所有権を置き、その原型を「私の身体は私のものだ」という自己意識に求める。市民社会はエゴイズムを肯定する欲望の体系だが、利己的な個人が欲望を無制限に追求すると、貧富の格差や犯罪が生じる。これをどうコントロールするかが法=権利の制度設計である。
続きは12月16日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
その市民社会(資本主義)の矛盾を克服する国家の役割を論じたのがヘーゲルの『法哲学』である。これはマルクスなどに圧倒的な影響を与え、今日の「グローバリズム批判」は、ほとんどこの亜流だといってもよい。
タイトルで「法」がカッコでくくられているが、これまで「法」と訳されてきたRechtは、第一義的には「権利」という意味である。つまり「法=権利の哲学」は、権利という概念を通してとらえた近代社会論なのだ。
ヘーゲルは権利の中核に所有権を置き、その原型を「私の身体は私のものだ」という自己意識に求める。市民社会はエゴイズムを肯定する欲望の体系だが、利己的な個人が欲望を無制限に追求すると、貧富の格差や犯罪が生じる。これをどうコントロールするかが法=権利の制度設計である。
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