兵庫県知事選挙は思わぬ展開を見せ、折田楓社長が選挙運動を有償で請け負ったとすれば、斎藤元彦氏が失職する可能性が出てきた。きのうの弁護士の会見は穴だらけで、次のような疑問に答えていない。
- 「SNS戦略の企画立案などについて依頼をしたというのは事実ではありません」というが、彼女のnoteでは斎藤氏に対するSNS戦略の提案(9月29日)の写真とともに10月から11月17日(投票日)まで一連のスケジュールを示し、「広報全般を任せていただくことになりました」と書いている(今は削除)。
- その後も折田氏は選挙演説の横でインスタライブを撮影し、Xアカウントで情報発信している。これは単なる事務ではなく、主体的な選挙運動だと思われるが、それについて斎藤氏が「何も依頼していない」ということは常識的には考えられない。
- 10月31日付で出された請求書には、チラシやポスターなどの代金71万5000円が書かれ、折田氏が斎藤氏に見せた「SNS戦略」については何も書かれていないが、支払い期日が11月末日となっており、選挙運動全般の報酬と考えられる。
スポニチより
以上の証拠から、少なくとも折田氏が選挙期間中にSNS活動を仕切ったことには疑問の余地がない。問題はこれが有償で依頼された業務か個人的なボランティアかということだが、削除されたスケジュール表では一連の業務として書かれており、社員も動員している。ところが弁護士は、この削除された部分を見ていなかった。
陣営側は選挙運動の依頼が違法だと認識して請求書の内訳を実費だけにしたと思われるが、折田氏は違法性をまったく意識せず、自分が広報活動(選挙運動)を任されたと明言している。この認識の齟齬が今後の争点になるだろう。
根本的な問題は「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭の供与」をしたときは、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処するという公選法221条1項の規定が、ネット選挙を事実上禁止していることだ。
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