トランプ大統領は激戦州すべてを制して圧勝した。議会も共和党が上院の過半数を取り、下院も過半数を取る情勢だ。これはトランプの勝利というより共和党の勝利であり、バイデン政権に対する大衆の不満の表明だ。それは今に始まったことではなく、オバマ政権から始まっていた。

それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史
アメリカは二つの国に分断されてしまった。一つはGAFAMやウォール街に代表されるエリートの国で、そこには世界中から最優秀の頭脳が集まってくる。彼らは人種的にも多様でLGBTも多いので、話題はアイデンティティに集中する。企業でも学校でもポリコレが流行し、経済問題には興味がない。

そういう繁栄に置き去りにされたのが、もう一つの国である。かつて中西部には製造業の工場が集まり、白人労働者が高い賃金で働いていたが、そういう工場は1990年代以降のグローバリゼーションで姿を消し、労働者は低賃金の流通・運輸サービスに転職し、伝統的なコミュニティは失われた。

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特にオバマ政権で労働分配率は大きく下がり、格差が拡大した。これは世界金融危機のあと都市にエリートが集中し、地方の雇用が失われて荒廃する状況を政権が放置したためだ。このため人口の1割が資産の7割を保有する一方、職を失った白人の自殺が激増した。トランプ再選は、このような「忘れられた人々」が民主党のエリートに対して起こした反乱なのだ。

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