国民民主党の「年収の壁」対策は、所得控除という制度のわかりにくさもあって、いろいろな誤解を呼んでいる。
まず最大の誤解は、103万円は壁ではないということだ。図のように103万円から所得税が課税されるが、それはゼロから連続的に上がっていくので、壁ではない。たとえば学生アルバイトの給料が年収120万円だとすると、103万円との差額17万円に所得税・住民税15%がかかるので、税額は17万×15%=2.5万。手取りは14.5万円増えるので、働き控えは起こりえない。
バイトルより
バイト先の会社が103万円を超えないようにシフトを組むらしいが、そんなものは無視して働けばいい。学生の場合は所得が103万円を超えると親の扶養控除(38万円)がなくなる効果が大きいので、これは学生アルバイトの壁である。もともとは国民民主党の学生党員が考えたらしいが、これを防ぐには扶養控除を廃止したほうがいい。
それより大きな問題は、48万円の基礎控除を1.7倍の81万円に上げると、所得税・住民税だけでなく、他の控除も上がることだ。たとえば後期高齢者のうち、住民税非課税世帯と課税所得28万円未満(年収200万円)は1割負担になる。年金の平均受給額は170万円だが、年金控除が110万円もあるため、年金生活者のほとんどは非課税なのだ。
厚生労働省の資料
基礎控除が81万円になると課税所得が33万円減るので、いま課税所得28万円未満の人(1315万人)は無税になる。彼らが最大の受益者である。2割負担の人の課税所得も33万円減り、最低所得は年金受給額でいうと年収230万円ぐらいになる。これは企業年金を含む最高額に近いので、2割負担(370万人)のほとんどが1割負担になり、後期高齢者医療費は現在の18兆円から20兆円以上に増えるだろう。その負担は現役世代からの「支援金」でまかなわれる。
続きは11月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
まず最大の誤解は、103万円は壁ではないということだ。図のように103万円から所得税が課税されるが、それはゼロから連続的に上がっていくので、壁ではない。たとえば学生アルバイトの給料が年収120万円だとすると、103万円との差額17万円に所得税・住民税15%がかかるので、税額は17万×15%=2.5万。手取りは14.5万円増えるので、働き控えは起こりえない。
バイトルより
バイト先の会社が103万円を超えないようにシフトを組むらしいが、そんなものは無視して働けばいい。学生の場合は所得が103万円を超えると親の扶養控除(38万円)がなくなる効果が大きいので、これは学生アルバイトの壁である。もともとは国民民主党の学生党員が考えたらしいが、これを防ぐには扶養控除を廃止したほうがいい。
それより大きな問題は、48万円の基礎控除を1.7倍の81万円に上げると、所得税・住民税だけでなく、他の控除も上がることだ。たとえば後期高齢者のうち、住民税非課税世帯と課税所得28万円未満(年収200万円)は1割負担になる。年金の平均受給額は170万円だが、年金控除が110万円もあるため、年金生活者のほとんどは非課税なのだ。
厚生労働省の資料
基礎控除が81万円になると課税所得が33万円減るので、いま課税所得28万円未満の人(1315万人)は無税になる。彼らが最大の受益者である。2割負担の人の課税所得も33万円減り、最低所得は年金受給額でいうと年収230万円ぐらいになる。これは企業年金を含む最高額に近いので、2割負担(370万人)のほとんどが1割負担になり、後期高齢者医療費は現在の18兆円から20兆円以上に増えるだろう。その負担は現役世代からの「支援金」でまかなわれる。
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