社会保障亡国論 (講談社現代新書)
きのうXで「2075年の日本の国民負担率は80%」というグラフを見せたら、大きな反響があったので、説明しておこう。賦課方式の年金はネズミ講なので、今の高齢者は現役世代に負担させ、現役世代は将来世代に負担させる。

このように先送りされる税と社会保険料を合わせた国民負担率(国民所得ベース)は、本書によれば(名目成長率1%でも)2075年には80%に達する。本書は10年前の本だが、今の数字はこれより悪くなっている。

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これはすべての負担を社会保険料だけでまかなった場合のシミュレーションだが、そんなことは不可能なので、社会保険料の赤字を税と国債で埋める。それが一般会計の38%を占める社会保障関係費だが、そのうち年金債務だけでも今後40年で1100兆円になる。

医療については不確実性が大きいが、両方あわせて簿外債務は2000兆円近い。これは政府会計に計上されていないので、ただちに返済を求められるわけではないが、将来世代の潜在的な負担になる。

これが若者が「払った年金は返ってこない」と将来を悲観し、消費が減退する原因になっている。どこの国でも賦課方式の年金はネズミ講だが、日本のように大きな簿外債務を抱えている国はない。なぜこんなことになったのか?

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