日本宗教史 (岩波新書)
自民党総裁選では、小泉進次郎氏の打ち出した「解雇規制の見直し」が大きなハレーションを呼んでいる。これに対して(河野氏以外の)他の候補が全面否定なのは当然だろう。「クビを切る」ことは日本社会の最大のタブーだからである。

日本人の歴史意識の「古層」が『古事記』や『万葉集』にあるという丸山眞男の発想は、文献学的には成り立たない。『古事記』が編纂されたのは712年だが、仏教はその200年ぐらい前に日本に伝来しており、記紀神話には仏教説話の影響がみられる。

日本人の「最古層」は、仏教や漢字の入ってくる前の口頭伝承である。それは記録に残っていないが、民俗学の調査から推測はできる。そこでは人々が死ぬまで同じ村で一緒に暮らし、プライベートな情報まで含んだハイコンテクストの文脈的知識を共有する。その文脈を断ち切る解雇は村の秩序を破壊する裏切りなのだ。

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