日本的雇用慣行を打ち破れ: 働き方改革の進め方
河野太郎氏が問題提起して話題になっているが、日本の「雇用規制」は強くない。問題は解雇して訴訟になると、ほとんどの場合に会社が負けることだ。

たいていの訴訟は「不当解雇」の撤回を求め、会社は「正当な理由」を証明しないといけないからだ。その正当な理由は、1979年の整理解雇の4要件で決まり、事業をやめるときしか認められていない。

これは温情主義の労働省が高度成長期の正社員保護の方針を変えなかったからだ。1970年代の石油危機で失業が増えたが、それは一時的な調整であり、会社が雇用調整して時間を稼げば、そのうち余剰人員はなくなるというのが前提だった。事実、1980年代後半にはバブルで有効求人倍率も1.46倍になった。

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しかしバブル崩壊後の1990年代の大不況は高度成長期とは違い、失われた雇用は二度と戻らなかった。このとき中高年の正社員の雇用を守って新卒採用を極端に絞ったため有効求人倍率は0.46倍に下がり、これに対応して労働者派遣法の改正などの規制緩和が行なわれた。この10年以上にわたる「就職氷河期」で非正規労働者が激増したのだ。

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