ハイデガーの超-政治――ナチズムとの対決/存在・技術・国家への問い
欧州議会選挙では右派が勝利し、緑の党が大きく後退した。世界をリードしてきたEUの環境原理主義も、ようやく曲がり角に来たようだ。来年はトランプ大統領の再選が確実とみられ、世界的な脱炭素化の流れは逆転するだろう。

それ自体は驚くべきことではない。大気を操作して地球温暖化を止めようとするドン・キホーテ的な事業は投資として成り立たないので、いずれ行き詰まることはわかっていた。わからないのは、こんなナンセンスな運動がなぜ30年以上も続いたのかということだ。

それは運動の中心がドイツだったことと無縁ではない。宗教改革を生んだのもマルクス主義を生んだのも、そしてナチズムを生んだのもドイツ人だった。そこにはハイデガーが1930年代に超政治(Metapolitik)と呼んだ思想があった。

それは自然を対象化して計算可能な存在とし、それを操作する人間を世界の主体に昇格させる思想で、のちに彼はこれを主体性の形而上学と呼んだ。一時期の彼はナチスにそれを見出し、ドイツ人を超政治に動員しようとしたが、ナチスに学長の地位を追われた。

その後、彼は政治的な発言をやめて西洋哲学の歴史を論じ、形而上学の起源をプラトンに求めたが、その隠れたテーマはナチズムの思想的起源をさぐることだった。それはのちに発見された「黒いノート」と呼ばれる草稿に書かれている。

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