日本の原子力開発は1950年代に始まったときから、核燃料サイクルが目的だった。岸信介や中曽根康弘が原子力の平和利用を進めた「隠れた目的」は、原爆の材料になるプルトニウムを製造して核武装することだった。
だから原子力開発の中核はプルトニウムをつくる高速増殖炉(FBR)だったが、これは1977年にカーター政権が放棄した。アメリカは日本にもサイクルの中止を求めたが、日本は日米原子力協定で「余剰プルトニウムはもたない」という条件でサイクルを続けた。
しかしFBR「もんじゅ」は技術的に行き詰まり、2016年に廃炉が決まった。山本義隆氏はそれを「迷宮」だと指弾し、核燃料サイクルは日本の「軍産複合体」の要だというのだが、これはお門違いである。日本はもうFBRを断念したので、兵器級プルトニウムはつくれないからだ。
問題はサイクルが宙に浮いたことだ。青森県六ヶ所村の再処理工場の稼働は26回も延期され、27回目も今年延期されることは確実だ。その原因は東京新聞も指摘するように、各原発のサイト内で乾式貯蔵する施設が増え、再処理の必要がなくなったからだ。これがアメリカ方式である。
東京新聞より
だから核燃料サイクルはもはや迷宮ではなく、出口はそこにある。サイト内で「核のゴミ」を保管するスペースは100年分以上あり、電源も不要で安全性にも問題はない。問題は全量再処理という無意味な建て前を捨てることだけなのだ。
続きは6月17日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
だから原子力開発の中核はプルトニウムをつくる高速増殖炉(FBR)だったが、これは1977年にカーター政権が放棄した。アメリカは日本にもサイクルの中止を求めたが、日本は日米原子力協定で「余剰プルトニウムはもたない」という条件でサイクルを続けた。
しかしFBR「もんじゅ」は技術的に行き詰まり、2016年に廃炉が決まった。山本義隆氏はそれを「迷宮」だと指弾し、核燃料サイクルは日本の「軍産複合体」の要だというのだが、これはお門違いである。日本はもうFBRを断念したので、兵器級プルトニウムはつくれないからだ。
問題はサイクルが宙に浮いたことだ。青森県六ヶ所村の再処理工場の稼働は26回も延期され、27回目も今年延期されることは確実だ。その原因は東京新聞も指摘するように、各原発のサイト内で乾式貯蔵する施設が増え、再処理の必要がなくなったからだ。これがアメリカ方式である。
東京新聞より
だから核燃料サイクルはもはや迷宮ではなく、出口はそこにある。サイト内で「核のゴミ」を保管するスペースは100年分以上あり、電源も不要で安全性にも問題はない。問題は全量再処理という無意味な建て前を捨てることだけなのだ。
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