森田洋之さんのnoteは、最近のワクチン懐疑派の人々の意見をまとめたものだが、データの扱いに疑問がある。まず彼のあげる次の5つの要因
  1. 人口が高齢化しているから?
  2. 新型コロナの流行でコロナ死亡が増えたから?
  3. コロナで医療逼迫して助かる命も救えなかったから?
  4. 感染対策の影響で高齢者の体力が低下したから?
  5. コロナワクチンの影響?
のうち、1は問題にならない。2もコロナ死者が超過死亡の大きな原因であることは明らかだ。問題は3である。

彼のグラフは正確ではないので、人口動態統計からプロットした次の図でみてみよう。超過死亡数(赤い折れ線)のピークがコロナ死数(青い棒グラフ)のピークと一致し、前者が後者の2~3倍である。

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この差分が森田さんのいう「謎の大量死」である。その原因はコロナ患者が急増したことによる医療の逼迫(医療資源配分のゆがみ)ではないかというのが私の仮説だが、彼はこれをECMO(人工呼吸器の一種)の実施件数を根拠に否定する。

これは誤りである。オミクロン株になってから、コロナは肺炎ではなく上気道の風邪になったので、人工呼吸は必要なくなった。それより問題は救急医療の逼迫である。次の図の赤線の緊急搬送困難事案(救急車が4回以上たらい回しになった)はコロナ感染者数(青い棒グラフ)に比例して増え、コロナ前のほぼ2倍になった。

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救急車の出動は、医療資源の逼迫を示している。オミクロンでは軽症患者が激増したのに従来通りの2類扱いを続けたため、コロナ対応に医療資源が取られ、本当に命の危険のある患者が後回しになったのではないか。

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