アメリカ消滅
日本の政界は裏金をめぐってもめているが、アメリカの政治献金はスケールが違う。2020年の大統領選挙では両陣営の合計で57億ドル(9100億円)の選挙資金が使われ、上下両院議員選挙では87億ドル(1兆4000億円)が使われた。合計2兆3000億円。日本の政治資金の総額は1000億円程度だから、文字通り桁違いである。

個人献金には上限があるが、政治活動委員会(PAC)への献金には上限がない。資本主義の国アメリカでは票も金で買えるので、政治家になる最大の条件は集金力なのだ。これがトランプのような人格破綻者が2度も大統領になろうとしている原因である。

政治献金は賄賂だが、公開すれば罪に問われない。これが1946年にトルーマン大統領のつくったロビイング規制法である。この法律は業界団体などが政治家に直接ロビイングすることを禁じるものだが、連邦議会に登録したロビイストを通せば、金を渡すことも合法になる。このように政治が資本主義で動くことが、さまざまなゆがみを生んでいる。

その一つがいま問題になっているイスラエル支援である。国連はたびたびイスラエルのパレスチナ占領地域からの撤退決議を出したが、アメリカは安保理事会で拒否権を行使し続けた。今回も国際刑事裁判所が逮捕状を請求したイスラエルのネタニヤフ首相を招いて議会で演説させる。その理由は明らかだ。バイデン政権の最大の献金者がユダヤ資本だからである。

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