アカデミー賞受賞で話題の映画「オッペンハイマー」を見た。結論からいうと、日本人が見ても半分もわからないだろう。原爆の映画だが広島・長崎が出てこないという批判がよくあるが、そんなことはどうでもいい。この映画のテーマは、そんなことではないからだ。

主人公オッペンハイマーは原爆を開発する「マンハッタン計画」のリーダーとしてよく知られた物理学者だが、戦後、水爆の開発に反対し、ソ連のスパイ容疑で原子力委員会から追放された。映画ではオッペンハイマーが原爆を開発した自責の念や、ルイス・ストローズ(のちの原子力委員長)との葛藤で、赤狩り時代のアメリカ社会が描かれる。

たくさん人物が出てくるが、日本語版では人物の名前がほとんどないので、背景がよくわからない。おまけにフラッシュバックで白黒とカラーの映像が出てくるのだが、白黒が戦前ではなく戦後だったりして、時系列がわかりにくい。

ただ言いたいことはわかる。敵役として登場するストローズは、アメリカの核戦略を立案した人物である。彼は水爆を開発して政権の中で出世しようとし、それに反対するオッペンハイマーをFBIに告発する。

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