医療崩壊の真実
医療費の窓口負担一律3割は、医療体制を改革する上でも重要だ。新型コロナでも、日本の被害は欧米よりはるかに少なかったのに「医療が崩壊する」などと騒がれた。本書は新型コロナに対する病院の対応について、医療コンサルタントが全国700以上の病院のデータで分析したものだ。

日本の病床数は人口1000人あたり13.7床で世界一なのに、なぜコロナ患者で医療が破綻したのか――という問いは逆である。分母と分子を逆にすると病床あたり人口が世界一少ないので、経営効率は世界最悪なのだ。

医療の質は大規模な病院ほど高いが、日本の病院の8割が民間病院で、7割が200床未満の中小企業だ。急性期病床が多いが、重症患者の多くは大病院に入院するので地域病院の空床率は高い。それを埋めるために外来ですませてもいい患者を入院させ、長期入院で埋めているので、急性期病床の平均在院日数も16.2日と世界一である。

新型コロナの被害が欧米よりはるかに少なかった日本で「医療崩壊」が起こった原因は、戦後ずっと日本医師会が守ってきた開業医中心の医療システムなのだ。

地域医療がバラバラの開業医でおこなわれているので、コロナのような感染症が発生すると対応できない。地域病院は経営不振になっても買収・合併を拒否するので、軽症患者を地域病院が受け入れ、重症患者は大病院に搬送するという役割分担もできない。コロナの医療資源の配分は保健所がやっているが、何も権限がないので、お願いしかできない。

要するに経営効率の悪い中小企業が補助金で延命され、大企業との格差が大きいという日本経済によくある二重構造が、医療のミスマッチの原因なのだ。感染症法や特措法を改正するなら、緊急時には行政が保険医療機関の人員配置や転院に介入する権限を明記し、損失を補償する必要がある。

コロナ重症患者を大病院に集約し、一般病院と役割分担することも必要だ。長期的には中小病院を集約し、医療の質を高めるべきだ。そういう医療の合理化を進めるためにも3割負担で過剰医療を削減し、経営効率の悪い中小病院を淘汰する必要がある。