ダーウィンの呪い (講談社現代新書)
ちょっと前に自民党のツイッターで「最も強い者が生き残るのではなく 最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは変化できる者である」というダーウィンの引用が話題になった。

これはフェイク引用で、特に後半はダーウィンの説と矛盾する。「変化できる者」というのは環境に適応する変化のことだろうが、こういう獲得形質は子孫に遺伝しない。これはアメリカのメギンソンという経営学者の言葉で、その元はクロポトキンではないか、というのが本書の推測である。彼の『相互扶助論』にはこう書かれている。

ダーウィンはこう示唆している。この場合の最適者とは、肉体的に最も強いものでもなく、最も狡猾な者でもない。共同体の福祉のために、強い者も弱い者も等しく互いに支え合うよう連携することを知る者である

しかし相互扶助が生存に有利になっても、そういう行動は遺伝しない。クロポトキンはこの点でつまずき、ラマルク的な進化論を考えたが、これは誤りだった。では「利他的な遺伝子」が、生存競争で生き残るメカニズムはあるだろうか。

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