ハラリの『サピエンス全史』によると、人類は7万年前に「認知革命」という突然変異で言語の能力を獲得してフィクションを信じるようになったというが、そんな証拠は遺伝的にも考古学的にもない。人類の脳は200万年前から大きくなり始め、ホモ・サピエンスが出てくる30万年前には現在の大きさになっていた。
言葉の使用は脳の拡大の結果であり、突然変異で生まれたものではない。むしろ重要なのは、目的を共有して共同作業ができるようになったことだろう。これを山極寿一氏は共感革命と呼んでいるが、それは一挙に起こった革命ではなく、脳が徐々に大きくなって記憶容量が増え、多くの人の顔を覚えられるようになった結果である。
ホモ・サピエンスの脳は霊長類の中では格段に大きく、150人ぐらいの顔を覚えることができる。これによって「共感」する仲間とそれ以外の敵を区別し、共同体を守れるようになった。草原で直立歩行する人類は他の哺乳類にねらわれやすいので、集団で身を守る知能が必要だった。狩猟採集民は強い相手からは逃げ、戦争することはほとんどなかった。
人類最古の戦争の遺跡は、スーダンの砂漠でみつかった1万2000年前の大量の槍などで傷ついた人骨である。戦争は定住社会の現象であり、特に文明や国家の始まった枢軸時代から、戦争の発生率は10倍以上に増えた。それはなぜか。
続きは10月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
言葉の使用は脳の拡大の結果であり、突然変異で生まれたものではない。むしろ重要なのは、目的を共有して共同作業ができるようになったことだろう。これを山極寿一氏は共感革命と呼んでいるが、それは一挙に起こった革命ではなく、脳が徐々に大きくなって記憶容量が増え、多くの人の顔を覚えられるようになった結果である。
ホモ・サピエンスの脳は霊長類の中では格段に大きく、150人ぐらいの顔を覚えることができる。これによって「共感」する仲間とそれ以外の敵を区別し、共同体を守れるようになった。草原で直立歩行する人類は他の哺乳類にねらわれやすいので、集団で身を守る知能が必要だった。狩猟採集民は強い相手からは逃げ、戦争することはほとんどなかった。
人類最古の戦争の遺跡は、スーダンの砂漠でみつかった1万2000年前の大量の槍などで傷ついた人骨である。戦争は定住社会の現象であり、特に文明や国家の始まった枢軸時代から、戦争の発生率は10倍以上に増えた。それはなぜか。
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