宗教の起源――私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか
イスラエルとハマスの戦争は、中東でも史上最大規模になりそうだ。その原因はユダヤ教とイスラム教の対立だが、元はといえば同じセム系のアブラハム宗教である。それがここまで憎しみ合う原因は、一神教の独善性にあるのかもしれない。

こういう体系的な教義をもつ宗教はきわめて特異である。日本を含む普通の地域では、信仰の対象は各地域で違い、互いにそれを認めていた。ところが今から3000年ぐらい前の枢軸時代に、ユーラシア大陸の亜熱帯でほぼ同時に世界宗教が生まれた。

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枢軸時代に生まれた宗教
 ☆ユダヤ教(3100年前)
 ☆ゾロアスター教(3500年前)
 ★エジプトの一神教(3000年前)
 ▲ヒンドゥー教(3500年前)
 ●ジャイナ教(2600年前)
 ●仏教(2500年前)

このようにほぼ同時期に各地で教義宗教が生まれ、しかもその多くが一神教だったという事実は、ヤスパースが指摘して以来、歴史学者がいろいろな説明を試みたが、相互の伝播はなく、偶然とも考えにくい。原因は不明だが、これについて本書は、進化生物学にもとづく仮説を提案する。

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