昨年のノーベル物理学賞が、アスペなどの量子もつれの証明に与えられたことをきっかけに、量子力学の観測問題が話題になった。その不思議な性格を示すのが、二重スリット実験である。
電子を2本のスリットを通して1個ずつ発射すると、スクリーンに干渉縞ができる。電子は1個だけなのに干渉が起こるのは、電子の位置が確率的にしか決まっていないためだ(これを純粋状態と呼ぶ)。ところが電子がどっちのスリットを通ったかを人間が観測すると干渉は起こらず、1個ずつ粒子として見える(混合状態と呼ぶ)。
高エネルギー加速器研究機構の資料
これは純粋状態では複数の電子が干渉するが、人間が観測すると電子が1個しかなくなると考えるしかない。これは直観的には受け入れがたい解釈なので、アインシュタインはEPRパラドックスを提示したが、それがパラドックスではないことを示したのがアスペなどの実験である。
それによると2本のスリットが宇宙の端と端にあっても、一方を観測した瞬間に他方の状態が変わる。光速を超えて情報が伝わる遠隔作用が起こるのだ。この量子もつれが量子コンピュータに応用されているが、それを説明する理論はまだない。その中で最近、有力だといわれているのが多世界解釈である。これは「宇宙は一つしかない」というニュートン以来の仮説を否定するものだ。
続きは9月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
電子を2本のスリットを通して1個ずつ発射すると、スクリーンに干渉縞ができる。電子は1個だけなのに干渉が起こるのは、電子の位置が確率的にしか決まっていないためだ(これを純粋状態と呼ぶ)。ところが電子がどっちのスリットを通ったかを人間が観測すると干渉は起こらず、1個ずつ粒子として見える(混合状態と呼ぶ)。
高エネルギー加速器研究機構の資料
これは純粋状態では複数の電子が干渉するが、人間が観測すると電子が1個しかなくなると考えるしかない。これは直観的には受け入れがたい解釈なので、アインシュタインはEPRパラドックスを提示したが、それがパラドックスではないことを示したのがアスペなどの実験である。
それによると2本のスリットが宇宙の端と端にあっても、一方を観測した瞬間に他方の状態が変わる。光速を超えて情報が伝わる遠隔作用が起こるのだ。この量子もつれが量子コンピュータに応用されているが、それを説明する理論はまだない。その中で最近、有力だといわれているのが多世界解釈である。これは「宇宙は一つしかない」というニュートン以来の仮説を否定するものだ。
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