税収が史上最高になり、コロナ補助金が10兆円も余ったので、ガソリン補助金の延長のような愚劣な財政バラマキが復活している…と切り捨てるのは簡単だが、愚劣ではない財政政策とは何かと問われると、答は簡単ではない。本書の次の言葉は有名である。
もちろんこれは冗談だが、当時は失業保険がなかった。紙幣を瓶に埋める代わりに失業者に配るのが失業手当だと考えると、それほど荒唐無稽な話でもない。失業は人的資本の浪費なので、不完全雇用では財政赤字は生産的なのだ。
これがMMTの元祖とされるラーナーの機能的財政論で、ブランシャールも認めるように、意外に重要な指摘である。新古典派的な純粋財政論では、需要不足が長期にわたって続くことはありえないので、財政赤字は長期的にはゼロと想定しているが、2000年以降の日本経済では需要不足(財政赤字)が続いてきた。
続きは9月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
もし財務省が古い瓶に紙幣を詰めて廃鉱の適度な深さに埋め、それを町のゴミで地表まで埋め立て、民間企業に紙幣を再び掘り起こさせれば、もう失業は起きないだろうし、そのおかげで社会の実質所得と資本資産も、おそらく現状をはるかに上回る水準になるだろう。(本書p.201)
もちろんこれは冗談だが、当時は失業保険がなかった。紙幣を瓶に埋める代わりに失業者に配るのが失業手当だと考えると、それほど荒唐無稽な話でもない。失業は人的資本の浪費なので、不完全雇用では財政赤字は生産的なのだ。
これがMMTの元祖とされるラーナーの機能的財政論で、ブランシャールも認めるように、意外に重要な指摘である。新古典派的な純粋財政論では、需要不足が長期にわたって続くことはありえないので、財政赤字は長期的にはゼロと想定しているが、2000年以降の日本経済では需要不足(財政赤字)が続いてきた。
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