
今週のEconomist誌は「中国経済が日本化している」という特集を組んでいるが、その症状は日本の1990年代より深刻だという。当時の日本人の所得はアメリカ人の60%だったが、今の中国は20%。それに対して債務は当時の日本に匹敵するので、バブルが崩壊すると中国経済が壊滅するリスクが大きい。
中国は2008年以降の世界金融危機に対しては、4兆元の景気対策で経済を支えたが、これによって不良債権が積み上がった。2020年のゼロコロナ政策の失敗でバブルが崩壊し始めたが、これに対して十分な財政支出をしていない。習近平が緊縮的な姿勢を打ち出し、財政赤字を3%以内に収めようとしているからだ。8月21日に発表された中国人民銀行の政策金利は3.55%から3.54%と、わずか0.1%しか下げなかった。
このような誤った政策の背景には、習近平の共同富裕政策がある。彼はアメリカとの戦争が避けられないと覚悟して軍備増強を最優先の目的とし、貧富の格差を拡大しないために、アリババのような成功した企業を規制し始めた。上司の命令に忠実な官僚を出世させるため、トップに正しい情報が上がらない。若年失業率も発表しなくなった。
かつて西側は中国が豊かになると民主国家になると期待したが、その期待は裏切られた。しかしその逆(独裁国家は貧しくなる)を中国は証明しつつある。それは日本にとっても望ましい未来ではない。
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