地球温暖化の一つの原因はCO₂濃度の増加だといわれるが、それは有害なのだろうか。IPCCはその問題を避けているが、最近ノーベル賞受賞者John Clauserが理事になって話題を呼んだCO₂ Coalitionは、CO₂の恩恵はその害より大きいと主張するNGOである。

図1のように1960年代から今までにCO₂排出量は4.5倍になり、穀物生産は5倍になった。その理由は単純である。植物はCO₂が多いほど生長するからだ。CO₂濃度が300ppm増えると、果物の収穫は60~70%増える。

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図1(CO₂ Coalition)

このようにCO₂のメリットは明白だが、問題はその害がメリットより大きいかどうかである。一般にはCO₂排出量の増加が地球温暖化をもたらすと思われているが、その因果関係は明らかではない。図2のように温暖化は1700年ごろから一貫して続いており、それは1800年までの小氷河期から温暖期への変化と考えられる。

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図2(CO₂ Coalition)

CO₂排出量が環境に影響を与えるほど増えたのは、第2次大戦後の1950年代以降だが、これ以前も以後も温暖化のトレンドは一定で、加速していない。つまり1850年との比較を「工業化以降」と呼んだIPCCの基準が誤りで、工業化と温暖化は無関係なのだ。

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