植田日銀がYCCを事実上、解除したことから、金融市場が動き始めた。一時は円高に振れた為替レートが、また142円になっている。短期的には、日米の為替レートは実質金利差で決まる。
実質金利=長期金利-予想インフレ率
ここで長期金利は10年物国債の金利、予想インフレ率はBEI(ブレークイーブン・インフレ率)で考える。日本の実質金利がアメリカより低いと、円を借りてドルを買う円キャリートレードができ、ドルが上がって日米の金利差が縮まり、世界平均の実質金利に近づく、というのが教科書的な理論である。
ところがここ3年の日米の実質金利差は、次の図のように大きく開いている。コロナ騒動の起こった2020年までは日米の差はほぼゼロだったが、21年から日本の実質金利がマイナスになり、直近では約2%も差が開いている。為替レートは、日米の実質金利差ときれいな相関がある。
2022年末に黒田総裁が突然、YCCの上限金利を0.5%に上げたため、急激な円安が進んで1ドル=150円になったが、その後は120円台まで上がり、YCC解除でまた140円台まで下がったが、日米の金利差は2%近い。これは異常な状態なので金利差は縮まると予想されるが、問題は何が動いて縮まるかである。
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