日本でもLGBTや移民など、アイデンティティをめぐる議論が盛んになってきた。これはアメリカの流行の輸入だが、その理論的背景として持ち出されるのが、批判的人種理論、批判的ジェンダー理論、ポストコロニアリズムなどの批判理論である。
その元祖は、フランクフルト学派である。これはワイマール時代のドイツで生まれ、ヒトラーの弾圧を逃れてアメリカに亡命した知識人のつくった理論で、その代表作は『啓蒙の弁証法』である。
これはきわめて難解な著作だが、アドルノとホルクハイマーの問題意識は一貫している。啓蒙すなわち近代科学が、強制収容所や核兵器を生んだのはなぜか。人間を豊かにするはずだったテクノロジーが、人類を滅ぼす一歩手前になっているのはなぜだろうか。
それは啓蒙が疎外を生み出し、世界を物象化したからだというのが彼らの仮説だが、これはドイツ人以外にはほとんど理解できない概念である。アメリカ人にもわからなかっただろうが、彼らの結論はわかりやすい。資本主義を否定しろということだ。
続きは7月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
その元祖は、フランクフルト学派である。これはワイマール時代のドイツで生まれ、ヒトラーの弾圧を逃れてアメリカに亡命した知識人のつくった理論で、その代表作は『啓蒙の弁証法』である。
これはきわめて難解な著作だが、アドルノとホルクハイマーの問題意識は一貫している。啓蒙すなわち近代科学が、強制収容所や核兵器を生んだのはなぜか。人間を豊かにするはずだったテクノロジーが、人類を滅ぼす一歩手前になっているのはなぜだろうか。
それは啓蒙が疎外を生み出し、世界を物象化したからだというのが彼らの仮説だが、これはドイツ人以外にはほとんど理解できない概念である。アメリカ人にもわからなかっただろうが、彼らの結論はわかりやすい。資本主義を否定しろということだ。
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