衰退しない大英帝国―その経済・文化・教育 1750‐1990
日本の「失われた10年」は「失われた20年」になり、最近は衰退途上国と呼ばれるようになった。かつて世界史上空前の高度成長を遂げた日本が老大国になり、成長が衰えるのは宿命とも思えるが、仔細にみるとそれは必然ではない。

GDPが減っている最大の原因は人口減少だが、一人当たりGDP成長率でみるとイタリアがG7で最下位で、日本がその次だ。イタリアはローマ帝国が滅びた500年前からずっと衰退しているが、イギリスは意外にアメリカに次いで第2位。これは労働人口で割っても同じである。

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労働人口一人あたりGDP成長率(1991年=100)(購買力平価)

日本は生産性が落ちているのだが、生産性とは「一生懸命に働いた成果」ではない。これは「付加価値÷労働人口」だから、日本人は長時間労働してももうからず、イギリス人はその逆なのだ。

一般には、大英帝国の繁栄は19世紀末に頂点に達し、その後は衰退してきたと考えられている。その原因は保守的な貴族が既得権を守って、新興の産業資本家の活躍を妨害してきたからだ、というのがよくある「文化批判」だが、本書はそれに反論し、「大英帝国は衰退していない」という。

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