電力広域的運営推進機関は、今年の夏の電力需給見通しを発表した。それによると、東電管内の7月の予備率は3.1%。これは昨年3月22日のように火力発電所が地震で2基止まっただけで、大停電の一歩手前になる数字である。
3・22のときは政府が節電要請を出し、東電が他社から融通を受け、揚水発電やデマンドレスポンスを動員し、供給電圧の低め調整という危険な対策まで動員して、大停電を回避したが、電力自由化の原則からいえば、東電がそんなことをする必要はなかった。
発電会社は供給責任を負わないので、自分の責任の部分だけ送電し、大停電が起こったら政府にまかせればいいのだ。電力システム改革を設計した松村敏弘氏は電力需給逼迫に大騒ぎしすぎではないかという。大停電のリスクは年に数日で、首都圏だけの問題だ。ゼロリスクを求める必要はないという。
これは一つの考え方だが、現実に大停電が起こったらどうなるか。東京都民は「電力自由化のためにはしょうがない」と納得してくれるだろうか。これは机上でシミュレーションしてもわからないので、実際に「社会実験」してみるしかない。
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