進化は保守的なので、ほとんどの突然変異は淘汰され、普通は特定の器官が一方的に巨大になるような進化は起こらない。ところが動物の脳の大きさは過去4億年で100倍になり、しかも脳の大きい動物ほど繁殖しているようにみえる。
これは進化の歴史の中で特異な現象である。そこには脳を一方的に大きくするフィードバック・ループがあるのではないか、というのが、アラン・ウィルソンの「文化駆動仮説」である。これは
脳が大きくなる
→他の個体の行動をまねやすくなる
→成功した行動をまねる個体が増える
→脳の大きい個体が繁殖する
というループで脳が大きくなるという仮説である。著者はこれを霊長類で検証し、おおむね肯定的な結果を得た。それによると、脳の大きさと推論・計画・学習などの「一般知能因子」には相関があり、これは集団の大きさとも相関がある。
単純化すると、脳が大きいほど知能が高く、大きな集団で行動できるため、集団淘汰の中で生き残りやすくなる。とりわけ人間の脳は1.5kgもあって霊長類では最大で、集団の大きさも150人と最大である。その原因は、脳の主要な機能が社会的学習にあるからだと考えられる。
続きは5月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
これは進化の歴史の中で特異な現象である。そこには脳を一方的に大きくするフィードバック・ループがあるのではないか、というのが、アラン・ウィルソンの「文化駆動仮説」である。これは
脳が大きくなる
→他の個体の行動をまねやすくなる
→成功した行動をまねる個体が増える
→脳の大きい個体が繁殖する
というループで脳が大きくなるという仮説である。著者はこれを霊長類で検証し、おおむね肯定的な結果を得た。それによると、脳の大きさと推論・計画・学習などの「一般知能因子」には相関があり、これは集団の大きさとも相関がある。
単純化すると、脳が大きいほど知能が高く、大きな集団で行動できるため、集団淘汰の中で生き残りやすくなる。とりわけ人間の脳は1.5kgもあって霊長類では最大で、集団の大きさも150人と最大である。その原因は、脳の主要な機能が社会的学習にあるからだと考えられる。
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