Best Things First (English Edition)
ロンボルグの「コペンハーゲン・コンセンサス」の最新刊。内容は今までとあまり変わらないが、データを更新して、もっとも効果的な12の政策の費用と便益を計算している。次の表は、その世界的な費用(年間億ドル)と便益(万人の人命または億ドルの節約)である。

政策費用便益
慢性疾患の予防44150万人
新生児と母体の健康49140万人
結核の予防6260万人
幼児ワクチン接種1750万人
マラリア予防1120万人
栄養不足の改善14190億ドル
学校教育986040億ドル
農業技術の改良551840億ドル
自由貿易171660億ドル
熟練労働者の移民28550億ドル
土地所有権の登記18370億ドル
政府調達の電子化0.76100億ドル

1万ドルの費用で何人の命が救えるかを計算すると、慢性疾患の予防で3.4人、出産の健康で2.8人、結核の予防で1人である。今でも世界では結核で毎年140万人が死んでいるが、先進国ではほぼゼロなので、関心をもたれていない。コロナは1万ドルで0.01人の命も救えないので、費用対効果は結核よりはるかに悪い。

経済政策としてもっとも効果的なのは学校教育で、1ドルの費用で61ドルの便益がある。気候変動対策はあまりにも長期にわたるため、もっとも効率的な方法(世界一律の炭素税)でも、1ドルで2ドルの便益しかない。CO2排出ゼロのような割り当て政策は、1ドルの費用による便益が1ドル未満で、非生産的である。

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