次世代半導体の開発をめざす新会社「ラピダス」の東会長が政府に2兆円出資を要請して話題になっているが、これは世界的には珍しいことではない。アメリカ政府は半導体産業に520億ドルの補助金を出すことを決め、韓国も半導体産業に25%の税額控除を決めた。今や半導体産業は「国有化」されつつある。
これは新しい現象ではない。トランジスタは真空管を置き換える電子スイッチだったが、ラジオなどの民生用にはそれほど多くのトランジスタは必要なかった。数千のトランジスタを1枚のチップに集める集積回路(IC)の初期の用途はミサイルや人工衛星などの軍事用だった。
1970年代にコンピュータの用途が民生用に広がると、ICはLSI、VLSIとなり、単に「半導体」と呼ばれるようになった。その集積度が18ヶ月に2倍になるムーアの法則で性能は飛躍的に上がり、80年代にはPCの発展で、半導体は産業の中枢となった。
本書の前半の主役は日本人である。1962年、フランスのドゴール大統領に面会した池田勇人首相は、ソニーのトランジスタラジオを持参してその話ばかりし、ドゴールに「トランジスタラジオのセールスマン」とバカにされたが、それから10年もたたないうちに、ソニーとパナソニックのラジオは世界市場を独占した。
シリコンバレーの名前の由来は、ここに初期の半導体メーカーが集まったことに由来するが、1980年代に半導体産業の主役になったのは日本メーカーだった。世界の半導体メーカー上位10社のうち6社を日本が占め、日米半導体摩擦が起こったが、その没落も速かった。
続きは5月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
これは新しい現象ではない。トランジスタは真空管を置き換える電子スイッチだったが、ラジオなどの民生用にはそれほど多くのトランジスタは必要なかった。数千のトランジスタを1枚のチップに集める集積回路(IC)の初期の用途はミサイルや人工衛星などの軍事用だった。
1970年代にコンピュータの用途が民生用に広がると、ICはLSI、VLSIとなり、単に「半導体」と呼ばれるようになった。その集積度が18ヶ月に2倍になるムーアの法則で性能は飛躍的に上がり、80年代にはPCの発展で、半導体は産業の中枢となった。
本書の前半の主役は日本人である。1962年、フランスのドゴール大統領に面会した池田勇人首相は、ソニーのトランジスタラジオを持参してその話ばかりし、ドゴールに「トランジスタラジオのセールスマン」とバカにされたが、それから10年もたたないうちに、ソニーとパナソニックのラジオは世界市場を独占した。
シリコンバレーの名前の由来は、ここに初期の半導体メーカーが集まったことに由来するが、1980年代に半導体産業の主役になったのは日本メーカーだった。世界の半導体メーカー上位10社のうち6社を日本が占め、日米半導体摩擦が起こったが、その没落も速かった。
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