巨大銀行の消滅
世界で銀行危機が進行している。今回の危機は従来のような取り付け騒ぎではなく、預金と融資の利鞘でもうける「金貸し」にすぎない商業銀行というビジネスモデルの終わりである。

欧米では、銀行が金貸しからリスク管理業務に重点を移す動きが80年代から始まった。日本でも1984年の日米円ドル委員会で自由化が始まったのは同じだったが、その後の展開は対照的だった。

英米の投資銀行が高度な金融技術を駆使して高い収益を上げ、企業買収などを仲介して産業の再構築を促進したのに対して、邦銀は金融制度調査会で証券業界と不毛な縄張り争いを延々と続けていた。

本書は、1985年に長銀が「第5次長期経営計画」で投資銀行への転進をはかっていた時期の行内の状況を描いている。経営計画はゴールドマン・サックスのような高収益企業になることを目標に掲げ、年功序列も廃止し、人事や給与を「経営貢献度」の点数によって決める能力主義を導入した。社内はパーティションで仕切られ、まるで外資系銀行のようだった。

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