本書のいう「中二階の原理」とは、日本社会では中間集団が強く、超越的な権力者がいないというよくある話だ。これを丸山眞男は「政事の構造」で精密に論じたが、本書はそれも参照しないで「車輪の再発明」をしている。
このように中間集団(家)が強いことが、明治維新(廃藩置県)などの大改革がスムーズに実行された原因だというのも、私を含めて多くの人が指摘していることだが、おもしろいのは戦後改革も廃藩置県と似ているという指摘である。
戦後改革の中で最大の改革は、地主の土地を取り上げて小作農に分配する農地改革だった。1947年から農地の強制買い上げが行われ、小作地の80%が買い上げられ、小作地は全農地の46%から10%に激減した。当時は数百倍のインフレが起こったため、これは無償の没収に等しかったが、地主はほとんど抵抗しなかった。
実はこの案はGHQが出したものではなく、農林省の農政局長、和田博雄が起案したものだった。和田は戦前の革新官僚で、企画院事件で逮捕されたおかげで公職追放をまぬがれ、のちに左派社会党の書記長になった。農地改革は、GHQの威光を借りて官僚がやった社会主義改革だったのだ。
続きは4月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
このように中間集団(家)が強いことが、明治維新(廃藩置県)などの大改革がスムーズに実行された原因だというのも、私を含めて多くの人が指摘していることだが、おもしろいのは戦後改革も廃藩置県と似ているという指摘である。
戦後改革の中で最大の改革は、地主の土地を取り上げて小作農に分配する農地改革だった。1947年から農地の強制買い上げが行われ、小作地の80%が買い上げられ、小作地は全農地の46%から10%に激減した。当時は数百倍のインフレが起こったため、これは無償の没収に等しかったが、地主はほとんど抵抗しなかった。
実はこの案はGHQが出したものではなく、農林省の農政局長、和田博雄が起案したものだった。和田は戦前の革新官僚で、企画院事件で逮捕されたおかげで公職追放をまぬがれ、のちに左派社会党の書記長になった。農地改革は、GHQの威光を借りて官僚がやった社会主義改革だったのだ。
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