国破れて著作権法あり ~誰がWinnyと日本の未来を葬ったのか (みらい新書)
映画「Winny」が公開されて話題になっている。本書は著者がアゴラに連載した記事をベースに、Winny事件で日本社会が何を失ったかを考えるものだ。今では知らない人も多いと思うが、Winnyは世界で初めて開発されたP2Pの動画共有ソフトだった。

サーバとクライアントを区別しないで、すべてのコンピュータが同格に情報を共有するP2P(peer to peer)の技術は新しいものではなく、インターネットの設計思想がP2Pだった。これを音楽ファイルの共有に使ったのが1999年にサービス開始したNapsterだったが、これは音楽産業の訴訟で閉鎖に追い込まれた。

その後、2002年に金子勇(東大助手)が開発したP2PソフトウェアがWinnyである。これは動画のような重いファイルをクラスターに分解して多数の端末で共有するソフトウェアで、当初、2ちゃんねるで配布され、一時はネット上のトラフィックの半分以上をWinnyが占める状態になった。

これに対して、日本で訴訟を起こしたのは警察だった。2004年、著作権法違反「幇助」の容疑で京都府警が金子を逮捕し、起訴した。P2Pユーザーが民事訴訟を起こされる事件は世界中で起こっていたが、その開発者を刑事訴追した事件は、これが世界初だった。その影響は大きく、日本のP2P開発は壊滅した。



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