
2013年以降の数年間における日銀の大規模な金融実験は、中央銀行のバランスシートがGDPの30%から120%に拡大したことを物語っています。インフレ面では、影響はわずかでした。成長面では、その効果もわずかでした。これは日本だけでなく、2008年以降、非伝統的政策を採用した他の多くの国でも同様でした。
おそらく中央銀行は、1980年代半ばに始まった20年ほどの安定した成長と安定したインフレのグレート・モデレーションの教訓を安易に解釈しすぎたのでしょう。この時期の独立した中央銀行の金融政策の成功は、幸運と偶然によるものだった可能性があります。中央銀行の仕事は、政治力をあまり必要としませんでした。
世界経済は、発展途上国や旧社会主義経済のグローバル市場経済への参入、情報技術の急速な進歩、比較的安定した地政学的環境など、有利な供給側要因の恩恵を受けました。これらの要因により、低インフレと比較的高い成長が共存でき、政治的に厄介な問題は少なかったのです。
残念ながら、世界は変わりました。良好な供給側要因を助長した環境は、地政学的リスクの高まり、ポピュリズムの台頭、パンデミックによるグローバル・サプライ チェーンの混乱など、さまざまな方向から攻撃を受けています。中央銀行はまたインフレと雇用のトレードオフに直面しています。
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