新型コロナが4月から5類に移行する見通しだが、新型コロナウイルス感染症を「新型インフルエンザ等感染症」と呼ぶのは奇妙である。これは感染症法の2類とも5類とも違う。こういう混乱した分類が続いてきたのは政治的な事情がある。

コロナの流行が始まった2020年2月に、暫定的に「指定感染症」に分類したのはやむをえなかったが、3月に新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)を適用したのが脱線の始まりだった。この法律は2012年に民主党政権がつくったもので、対象はその名の通り2009年のような新型インフルだった。

ところがその第2条に「新感染症にも適用できる」と書かれていることを根拠にして、この法律が流用された。「新感染症」は病原体が未知の感染症の暫定的な分類だが、当時すでに新型コロナウイルスは同定されていたのでおかしいという批判が専門家から出た。だがこの法律が民主党政権で制定されたので、野党が文句をいわないという国会対策で適用が決まった。

ここには大きな問題があった。特措法は2012年にできた新型インフルエンザ等対策政府行動計画にもとづいてつくられたのだが、これは2500万人が感染して最大64万人が死亡する最大級のパンデミックを想定していた。

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ここでは感染が指数関数的に拡大して「医療提供のキャパシティ」を超えることをを防ぐために緊急事態宣言を発動できることになっていた。これは感染症法の2類とは異なる医療資源を守る行動計画だったのだが、実際のコロナはその想定とはまったく違っていた。

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